さよならを言う前に
君と一緒に、一日を過ごそう
少し朝寝坊して
遅めの朝ごはんは
君の好きなフレンチトーストを作るよ
二人並んでゆっくりと散歩をしよう
二人の思い出の場所を、見て回りたいんだ
最初に出会った場所
よく行くお店
お気に入りの公園
晩ごはんは君の作ったものが食べたい
なんだっていいんだ
君が得意だって言い張る親子丼もいいし
最近良く作る野菜たっぷりのパスタもいい
夜は、君に甘えさせて欲しい
横に座って、もたれかかって
静かに、時を過ごす
「珍しいね」
何も知らない君
不思議そうだけど、それ以上は聞かないで
まだ、知ってほしくないんだ
明日。僕がさよならを告げなければならないことを
空模様
それは日々、形を変えていく
澄み切った青の日もあれば
どんよりとした灰の日もある
流れ行く雲が、模様を刻んでいく
見上げると、いつも違う空模様
いい日もあれば、悪い日もある
それはまるで人生の縮図のようで
刻々と変わりゆく空の下
自分たちは生きている
鏡
鏡の向こうのキミは
いつだって自信がなさそうにうつむいている
ボクはキミのことがキライだ
お世辞にもカワイイと言い難い顔
なのに
ボクは毎日キミの顔を見る
カワイクない。自信がない。好きじゃない。
ボクが辛いときは
キミも辛い顔をする
それがまた、たまらなく嫌で
キミを壊したくて力いっぱい鏡を殴りつけた
いつまでも捨てられないもの
君と会ったのはいつだっただろうか
気が付いたら、ずっと一緒にいた
自分は子供だったから
時には汚してしまったり
時には破いてしまったりして
その度にお母さんになおしてもらった
あちこち連れ回すものだから
うっかりどこかに置き忘れて
泣きながら探し回ったこともあったね
あの時は、たくさんの人に助けてもらったな
たくさんの年月を一緒に過ごした君は
もうくたくたのよれよれで
大人になった自分の部屋には
不似合いかもしれない
いつまでそんなものを大事にしてるの?
そう、思われるかもしれないけれど
やっぱり君のことは、捨てられない
誇らしさ
勝負に勝つ。表彰される。何かを成し遂げる
それはとても誇らしいこと
すごいね。素晴らしいね。羨ましいよね
でもね
表に出ることはなくても毎日頑張る君も
ただ毎日穏やかに生活できている君も
この世にただ存在しているだけで
それもとても誇らしいんだよ
大丈夫。素晴らしいよ。素敵だね