木弓るん

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8/10/2023, 10:50:15 AM

終点

つい、うたた寝をしてしまっていたらしい
気が付くと終点の駅に着いていた
家からは二駅隣の駅だ
そう考えると、
そんなに遠くないはずだけれど
すごく遠いところまで来てしまったよう
知らない土地の感覚に
心がざわめく

幸いにもまだ折り返しの電車がある
だけど、あえて駅を出た
うたた寝のせいか、思ったより元気だ
これも何かの縁
ちょっとした夜の冒険をしてみても
問題はないだろう

8/9/2023, 11:00:59 AM

上手くいかなくたっていい

「ごめんなさい」
君はすぐあやまる
「私にはできないから」
君はすぐあきらめる

きっと、君は
今までたくさん辛い思いをしたんだね
誰からも褒められず
肯定されず
ほんのささいな失敗をしては
強く責められ続けた

だけと、もう大丈夫
もう君を責める人はどこにもいない
だからやってみよう?
上手くいかなくたっていい
大事なのは、楽しかったかどうかなのだから

8/8/2023, 10:30:19 AM

蝶よ花よ

もみじのようなお手々をふって
ちょこちょこと歩いてくる
きみは本当に愛らしく愛おしい

まだちょっとだけ人見知りで
知らない人を見つけると
さっと僕の後ろにひっついてくる

そんなきみも
いつかは僕のそばを巣立っていく

その時がきたら
僕は泣いてしまうだろうか
きっと泣いてしまうね

だから今は
精いっぱいにきみのことを愛したい

8/7/2023, 11:26:19 AM

最初から決まってた

村は、燻された臭いで充満していた。
家屋は全て焼け落ちて原型を留めていなかった。
豊かに実っていた畑も真っ黒で、
もはや見る影もない。

仰ぎ見た空は煙を吸って、深く曇っている。
じきに、降り出してくるだろう。
まだ鎮火していないところが、
これで収まってくれると良いのだが。

ひとしきり村の状態を見て回って
男はひとり、呟いた。

「巫女様。貴女はどこまで知っていたのですか」

この村の結末も、
残された少年の運命も、
最初から、決まっていたのだろうか。
知っていて、自分に託したのだろうか。

ならば、抗ってやろう。
ここから先の運命も、
決まっているのなら、変えてみせよう。

男は踵を返し、村を後にする。
振り返ることはもうなかった。

8/6/2023, 10:59:10 AM

太陽

眩しい…!

目に刺さる強い光
じりじりと肌が焼ける感覚

思わず、家の中に戻る

季節は夏。天気は快晴
空に浮かぶ光源は
容赦なく気温を上げてくる

暑い…

アスファルトの照り返しが
再び外に出ることを躊躇させる

だけど、行かなければ

同じ陽の下で
君が待っているから

太陽はいつだって眩しいけれど
僕たちはそれ以上に
眩しくて楽しいひとときを過ごそう

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