桜
近くの公園は桜が満開になっており、近所の住民たちは集まってお花見をしている。
桜もお花見も春の風物詩だ。
ただ、花は儚いもので、一週間も経てばあっという間に散っていく。どうして花はそう早々にその栄華なる時を終えるのか。
よく見ればお花見してる人たちはお弁当の具ばかりに目が行っている。花より団子だ。
桜の見頃は一瞬なのに、勿体無いと思う。
桜は一年でほんの一週間しか見れないのに。
一年一年を大事に楽しく生きたいならば、ぜひとも風に揺られる桜の色々な姿を目に焼きつけておきたいものだ。
そう誰かが強く思い続けていたのだろうか、帰り道に不思議な光景を目にした。
満開の時は過ぎ、あっという間に散ってしまった桜たち。
その中に、たったひとつだけ。満開の桜が残っていた。
もう5月になるが、このようなことがあるなんて。
そう思い、近くに座り、一人で静かに桜との時間を過ごした。
今気づいたんだが、"書いて"のお題って、一年周期なのか?一年前の10/7のお題は"力を込めて"だったし、一年前の10/6のお題は"星座"だった。
それなら、一度書いたことあるお題の日は、これからは自分が想像したことを書いていこうか。
カレンダーへの思い
・カレンダーはもう9月。今年も後半。
一年の流れはとてつもなく速い。
なんでも17歳までは時の流れが遅いが、それ以降は速く感じるらしい。
一体なぜか?初めてのことや、刺激が少なくなるからか?
それなら、何も挑戦してこなかった私はなぜ速く感じるのだろうか?
・考えれば一年12ヶ月、一日24時間なんて短い。私のような人のためにせめて一年24ヶ月にはして欲しいくらいだ。今この時が一番若い時だと言うならば、その若い時をもっと増やした方が、皆も嬉しいと思う。
・そんな夢を想像しては、今日の日付のページを開き、日記を書き、この『書いて』アプリに想ったことを書いていく。
短い小説『時を告げる』
「時間だ…行ってくるよ」
荒れる波。波打つ水しぶきが船着き場にも掛かる。これから船出の時間だというのに、それを引き止めるような悪い天候だ。
これから、数年間遠い国へ単身赴任しなければならない。最愛の妻を置いて遠い所へ行くなんて、想像もしていなかった。恐らく妻も想像していなかっただろう。
数年間ハグが出来ないのは辛いし、当たり前のように横に座ってテレビ見てご飯食べて他愛もない話をしていた日々がかけがえのない日々のように巡ってきて、目頭が熱くなる。最後に、もう一度だけしっかりとハグをして、しばしの別れの挨拶をしよう…。
妻もハグがしたかったようで、腰から首に手を回し、キスをしてきた。妻の唇はいつも以上に熱かった。
汽笛が鳴った。このまま時間が止まれば良いのにと思ったが、行かなければならない。
…別れの時を告げることにした。
「…もう時間だ。行ってくる。しばらく会えないけど、数年後には必ず戻って来るよ。…そうだ」とっさに思いつき、カバンに付いている愛用のキーホルダーを外した。
「これ、僕だと思って。」
愛用のキーホルダーを妻に渡した。これで少しでも寂しさを紛らわせれたら嬉しい。
妻は重い表情でも、少しだけ顔が綻び、受け取った。
…だが、その時、違和感を覚えた。
もう一度確認したが、妻の指には結婚指輪が無かった。ずっと付けていたのに、一体どうしたのだろう。
妻の顔をよく見てみた。うつむき気味だが、口角は大きく上がっており、細かく震えている…ように見えた。キーホルダーがそんなに嬉しかったのだろうか。
妻は何も言わなかった。ただキーホルダーを握りしめていた。悲しいが、船出の時間なので振り返らずに船に乗った。
戻った時、家の中は妻のものは一切無くなっており、あの時渡した愛用のキーホルダーだけが置かれていた。
別れの時を告げたのは妻の方だった。
不完全な存在の我ら
・なぜ人間が不完全なのか。
これは自分の個人的な考えなのだが、
人間は神の分身、欠片なのではないか?と思っている…。
才能という言葉があるが、これは神の欠片の中に一つ一つ神の力の一部が含まれており、一つ一つ偏りがあるから生じるものではないかと思っている。
それならば欠点も同じように、神の欠片一つ一つに力の偏りがあるから、生じるものと考えられる。…単なる想像だが。
・…なんだろうか。"成仏"という言葉は"仏と成る"と書く。人生を終えたら再び神仏の一部となるのだろうか。
我々が生きているのって、もしや、神仏がより神仏としてアップグレードするために一部一部を直そうとしているのか。その為に、一部一部に命を与え、その一部一部である我々に成長させようとしているのか?
…単なる妄想だが、神様はいる気がする。そして、どちらにしても不完全である我々を見守っているに違いない。