野菜大魔王

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1/5/2024, 5:21:44 PM

あんなに白かった体は、
こんなにも汚れてしまったね。

日に増して小さく、そして消えてゆく。

居なくなった場所には涙の跡だけが残っている。

もうバイバイの時間なのかな。

そっと、太陽を睨んだ。
それはもう、憎しみの念を込めて。

奪わないで。
まだ一緒に居たいの。

1/4/2024, 11:49:30 AM

人は今以上のものを欲しがる生き物だ。

幸せとは堕落と欲の塊である。

1/3/2024, 1:30:23 PM

地平線を走る光がひとつ

夜と朝のグラデーション

星たちの隠れんぼ

1/2/2024, 4:24:43 PM

昨日のことである。
何年もの間扉の向こうに居る死刑囚に訊いてみた。
「今年の抱負は?」
すると、彼はこう答えた。
「今年も生き抜く」
今度は彼が訊ねた。
「アンタはどうなんだ?」
考えるフリをしてから、
「人殺しにならないこと」
とだけ返した。
そして今日、私は彼が居た扉の中を秩序の側から見下ろしている。

1/1/2024, 6:24:53 PM

タイトル【新年】
文字数 700文字くらい

「0時00分、境目を遂に超えた」
 スマホの画面を見ながら、彼はそう言った。
「年が明けたみたいだが、どうもそんな気はしないな。まあ、23時59分が0時00分なって、日付或いは年が変わったところで、昨日の続きという感覚がなくなる訳じゃないから、当然っちゃ当然なのかな?」
 何やら釈然としない様子の彼に向けて、「デジタルかアナログか、ってこと?」と訊ねてみた。
 中途半端な物怪顔になった彼が答える。
「ちょっと違う──いや、そういうことなのかも。うん、面白いね。デジタルかアナログか、か………。考えもしなかったな」
 広角を歪ませて微笑むと、更に続ける。
「いつも不思議に思うんだ。昨日と然程変わらないのに、年が明けると、途端に昨日までの1年間が過去になった気分になる。始まったという感覚はないのに、終わってしまったという感覚だけがあるのだから、どうも心地が悪くってね。でも、払暁にもなると年が明けたという感覚がようやく出てくる。これがどうも不気味なことこの上ない。更に心地が悪いったらありゃしない」
「あなたの感覚で話すなら、年や日付の変わり方はアナログだけれども、どこかデジタルみたいだと感じるってことかしら? 慥かに、人生は連続性。年の変わり目も本来はそうあるべきなのかも………。非連続的に感じると違和感よねえ」
 町のあちこちから新年を祝う声がする。時計に目をやると、針は0時07分を指していた。
「happy new yearではないぞ、ちくしょうめ」
 そう言って煙草に火をつけると、煙を吐き出してから「だから新年は嫌いなんだ」と彼は悪態をついた。それを横に見ながら、私はこっそりと笑った。

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