12/19/2023, 11:05:31 AM
寂しい
この言葉を習ったのはいつだっただろう。
仕事が忙しく家に帰って来れなかった両親に対して
寂しいという感情を持ったことがあっただろうか。
寂しさというものを感じなくなった私は
成長したのか、慣れてしまったのか。
恋人で賑わう公園のベンチでそんなことを考えていた。
「おまたせ。ごめんね待たせちゃって。」
あぁ、違う。幸せを見つけたから寂しさを忘れたんだ。
この人のおかげで負の感情を忘れることができたんだ。
寂しさを感じない日常を
これからも大事にしようと思った。
12/18/2023, 7:54:05 PM
暖房で温もった病室。
窓の外ではしんしんと雪が降っている。
初雪だったのもあって見惚れていると
「愛してる」と苦しみながら発する声が聞こえてきた。
僕は神に願うかのように強く手を握った。
彼女は「大丈夫だよ」と言わんばかりの笑顔で目を閉じた。
冷静さを取り戻した時、手の中にあるものに気づいた。
「来年の''冬は一緒に''イルミネーションを見よう」
震えた字でそう書かれてあった。
冷たい手を握っていた僕もそのまま目を瞑り
走馬灯のような長い夢を見た。