姿を変えた勇者
とある物語を終えた主人公は、次の物語では
「勇者」
として姿を変えた。
前の物語、
-前世-での可愛らしいリボンが特徴の主人公は、
今では誰にも持てない大きな剣を持つ、様々な人の憧れの姿となった。
「皆ハッピーエンドになれば、私は幸せです。」
勇者「………それは貴方も一緒だよ。"主人公"。」
生と死の間で、勇者は何者かにそう言った。
左手には、見覚えのあるリボンを握りしめながら。
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#姿を変えてもまた会いに来るよ。
クラスでも中心に居るような子に、
「今週の土曜日、図書館でも行かね?」
って誘われまして。
珍しい事もあるものだなーと思いながら、その日は特に予定も無かったので、
まぁ普通に一緒に図書館に行ったんですよ。
いつも騒がしい人でも、本を読むことはあるんだなと感心しながら
僕も隣の席に座ってゆっくり本を読んでました。
本を読んでから少し経ったときに、その子は徐ろにスマホを取り出して、何か弄ってたんですよ。
人のスマホを覗く趣味はしてないので、取り敢えず本を読み続けてたら、その子は凄い寂しそうに
「…昔は良かったよな。」
と呟いてました。
僕はその声に気付いてたけど、あんまり触れないようにしてました。
その後に「…カラオケ行こうよ。」って誘ったら凄い嬉しそうにしてたんで、
一緒にカラオケに行って楽しみました。
表向きは明るくても、やっぱり悩みとか昔に浸ることって誰でもあるんですね。
おひさ
普通に今日文化祭だった。
友達と色んなところ回ったけど、やっぱ一番は……………、
ごめんほぼ覚えてないわ。
やる事がある友達のところに行って、めっちゃ虚無状態になって仕事してるのが面白かった。
人でなしは今日も生きにくい。
「う"ぁ………」
俺はこの物語を終わらせる為に、主人公を殺した。
こんな変な物語、ダラダラ続けてても意味は無いだろう、という判断の元でだ。
だから俺は何時も"人でなし"役だ。
まぁそんな事、俺にとってどうでも良いんだ。
俺は床にぶっ倒れてる主人公を見下ろした。
「可哀想に。お前は何にも悪いことはしてねぇのになぁ。これがこの物語の最後の末路か。」
何を言われようがどうでも良いんだ。
だけど、
「"此処"に来るものって、結構ダメージ凄いな。」
俺は歩きながら、心臓がある場所の服の部分をグシャッとした。
人生のゲームオーバーおめでとう!
俺が人生で一番、気分や状況がどん底だった時。
親父は俺にこう吐き捨てた。
「お前は将来、仕事も見つからなくて人生どん底になって、変な奴と結婚するんだろうな〜w」
酒が入ってたから、という理由でも言ってはいけない物というのはあるだろう。
俺は生憎、根に持つタイプなんだ。
__だから俺は何十年も経った今でも覚えていた。
「何で…何でこんな事をするんだよ!!!!」
俺が家族が寝ている間に全員殺そうとしてたら、唯一、親父だけが起きていた。
親父以外の家族は全員死んだ。
俺が殺したからだ。
殺す前に親父は俺にそう吐き捨てた。
俺の大事な時間を割いている事も、こんなのに耳を貸すのも意味は無いことは知ってたけど、
何となく耳を貸した。
「息子が根に持つタイプだったのが、唯一お前の悪いところだったな。…実際、全人類お先真っ暗だからな。人なんて関係ねぇんだよ。」
まぁ此奴が覚えているとは微塵も思ってないけど、
俺は最後にそう言った。