孤都

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12/9/2024, 11:29:06 AM

    #手を繋いで


  新しいママが来て、温かかったおうちは冷たくなった。

  新しいママは、パパが居る日は優しいけれど、
 単身赴任中のパパが居なくなっちゃうと、とても、
 怖くなる。

  僕や、弟のりくが、わがままを言うと、
 すぐに叩いたり、蹴ったりしてくるんだ。

  僕は、りくは叩かないでっていうけれど、
 ママは、聞いてくれないの。

  きっと、ママは僕とりくのことが嫌いなんだ。

  パパに相談しようと思うけど、パパが好きな人だから、
 嫌な思いをさせたくないんだ。

  パパに悲しい気持ちになって欲しくないから、
 りくを守りながら、ずっと、我慢するんだ。

  
  今日はね、学校から帰って長いお昼寝をしちゃって、
 ママが帰ってくる前に、洗濯物を畳めなかったの。

  悪いのは僕だけなのに、ママは僕とりくのことも
 お外のベランダに出したの。

  お外は、雪がたくさん積もってて、寒かった。

  息を吐くと白くなった。

  りくと雪だるまをつくって遊んでいたけれど、
 時間が経つとりくの体がどんどん冷たくなったんだ。

  上手におしゃべりもできなくなった。

  だから、僕の体の温かいのをりくに分けてあげようと
 思って手をぎゅーってしたの。

  でも、りくは声をかけても返事をしなくなったの。

  僕の体も冷たくなってきて、手が握れなくなったんだ。

  眠くなって、冷たくなったりくと手を繋いで、
 僕は寝ちゃったの。

  長いお昼寝をしたのになぁ・・・・・・。




  「昨日、○○市の住宅のベランダで、小学2年生の
  湊くん8才と弟の莉久くん4才が、凍死しているのが
  見つかりました」

  「湊くんと莉久くんは、母親から虐待を受けていた
  ものと考えられており、この日は雪が降る中、ベランダ
  に出されていたということです」
 
  「また、発見時、湊くんと莉久くんは手を繋いでいて、
  連日の寒さで2人の繋いでいた手が凍り、未だ離れて
  いないため、死亡解剖が進んでいないようです」

  「この現状から、兄弟の最後まで相手を思いやる思い
  と、事の残酷さが伝わってきました」

  「どうか、どうか、このように純真無垢な心を持つ、
  輝かしい子供たちの未来を、私たち大人の都合で
  奪うことがない、そんな未来を・・・・・・心から、望みたい
  と思います」







12/8/2024, 10:13:07 AM

     #ありがとう、ごめんね
 

   出会ってくれて、ありがとう。

   好いてくれて、ありがとう。

   愛してくれて、ありがとう。

   永遠の、愛を誓ってくれて、ありがとう。

   俺を、ドン底から引き上げてくれて、ありがとう。

   手を差し伸べてくれて、ありがとう。


   お前との生活は、申し分がないほど、幸せで、
  充実してた。

   
   でも、ごめん。

   だからこそ、不安でたまらない。

   この幸せも、必ずあいつに奪われてしまう。

   お前を巻き込んで、傷つけてしまう。

   そんな考えが頭を埋めつくして、不安で、怖くて
  どうにかなってしまいそうなんだ。



   だから――ごめん。


   俺は、先に逝く。


   また、来世、逢おうな――。

12/8/2024, 9:59:12 AM

    #部屋の片隅で


  初めてのキスは、酸っぱくて、ほんのり甘いらしい。

  実際、どうなのかを知りたくて、僕は片思い中の

  君に、キスをしてみようと思った。

  まぁ、若気の至りってやつだろう。

  いつも通り、放課後に君の家を訪ねて、勉強をして、
 ゲームをする。

  しばらくして、部屋の中が暑いと言い、君は着ていた
 服を脱いで、上半身に布を纏わない姿を僕に見せる。

  その姿を見た瞬間、僕の中の理性が、ブツっと切れる音
 がした。

  君の両手を重ねて、身動きが取れないように抑える。

  興奮状態にあった僕は、その場の雰囲気にのまれて、
 君と、初キスを交わした。

  外に出れば、じりじりと陽の光に肌を焼かれ、
 室内にいても、サウナのように蒸し暑い夏。

  外で蝉がうるさく鳴いていたあの日、
 君の部屋の片隅で、甘酸っぱい、キスをした――。

12/5/2024, 1:35:21 PM

    #眠れないほど

   毎日毎日、眠たくてしょうがないのに、
  夢に出てきて、俺をいじめるお前のせいで、
  眠れない。

   遂には不眠症にもなって、
  精神科に通って、やっと安定してきたのに、
  お前は、また現れる。

   眠れないほどのトラウマをつくったお前も――
  道連れだ。


   そんな、恨みと、憎しみに溢れた少年は、
  憎んでいる相手を道連れにし、飛び降りた。



12/4/2024, 12:00:43 PM

    #夢と現実

 
   初恋が実る、それは夢。

   現実は、甘くない。

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