3/6/2024, 2:06:39 PM
離席した友人が戻ってきたとき気配に気付けずに肩を跳ねさせたら、「下手になったねぇ」と愉しげに笑われた。
「前は気配がしたらすぐ気付いて振り返ってたのにね」なんて言わなくたって分かることを加えて言ってくるあたり意地が悪い。
あなたに絆されたせいだよ、とは言えなくて適当に言い訳をする。
ふぅん、とにやけている友人が癪で小突く。
そんな何でもないようなじゃれ合いが大切で愛おしくてたまらない。
そう思ってしまうのもきっとあなたに絆されたせいだ。
(絆)
2/27/2024, 4:19:06 AM
君は今、何を考えているのだろう。
何も映さない瞳の奥の暗闇で何を見ているんだろう。
私は今、君のことを見ているよ。
無機質に私が映りこんだその綺麗な目を。視線を返してくれない君を。
今の君に私の淋しさが見えないことだけが救いだ。
(君は今)
2/23/2024, 12:17:17 AM
あなたは光だ。
暗闇を照らす光。
何があっても翳らない光。
私には眩しすぎる太陽のような光。
私はときどき、その光を穢してみたくなる。
あなたの翳りが見たい。
私だけが見ていたい。
光が強いほど影は濃くなる。
きっと私の劣情はその影なんだろう。
(太陽のような)
2/19/2024, 2:58:40 PM
末枯れる、という言葉がある。
意味は草木などが冬が近づいて枯れ始めること。
読み方は『すがれる』。『うらがれる』とも読むが、私は『すがれる』の方が綺麗だと感じるのでそう読んでいる。
初めてこの言葉を知ったとき、なんて美しい表現だろうと嘆息すると共に、木の葉が枯れてもなお枝に縋っているというイメージが浮かんだ。
そのときから私は新緑や若葉や紅葉よりも枯葉が好きだ。
(枯葉)
2/18/2024, 9:00:42 AM
お気に入りを選ぶことは苦手だ。
何かを選ぶことは、何かを選ばないということ。
それは酷く哀しいことのような気がしてしまう。
言葉の裏返しを見て申し訳ないと思ってしまう。
全てを同じだけ愛せたらしあわせだろうか。
(お気に入り)