yukimino (*˘ ˘*)

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11/19/2024, 12:35:21 AM

『たくさんの想い出』

未だ色彩を阻む
煩う焦燥と飛燕の音
朧気に崩れた道化は
深く深くに
沈みゆく

未だ遠くで響く
揺蕩う孤独と風切りの音
灰色に褪せた造花は
ゆらゆらゆらと
舞い落つる

1/30/2024, 6:33:27 PM

『あなたに届けたい』

鼻先をくすぐる白い雪
陽に照らされ光を反射し
体温と輻射熱に煽られて
手を広げた 掌に落ちた
いくつも積み重なる

やがて消えゆくこせつく揺らぎ
垣間見えた焦燥に
拓いた弱さを背中に隠す
「ああ、あれはいつだっけな」
隠し通したいその記憶
苦笑いを浮かべた
いつかこの掌のなかを

11/4/2023, 3:06:37 PM

『哀愁をそそる』

水面は揺れ
陽は遅れて暮れ
街角へ昏れ
緋色の空は晴れ
郷愁に熟れ
知らぬ徳に焦れ

悲哀去れど
哀傷溢れど
哀愁唆れど



徳(うつくしび)

10/1/2023, 4:50:35 PM

『たそがれ』

床の軋む音
舞い上がる埃の影
足裏に刺さる木のささくれ
窓から匂う夕陽の木漏れ日
割れた白い皿の上のカビたクロワッサン
焦げついたベーコンエッグと煤まみれのフライパン
ドライフラワーの入った茶色の紙袋
枯葉の積もった狭い庭先
郵便屋が手紙をポストに入れる気配
色落ちした羽根ペン
まるで新品の濃紺色のインク
割れ目の目立つブラックオークの机
針の止まったサファイアの懐中時計
埃被った聖書
隅に走り書きの小さな童話
棚の上に無造作に置かれた水晶の破片
畳まれた布切れと編み込みのバスケット
薄暮から伸びる影
玄関の門の軋む音

9/27/2023, 2:13:45 PM

『通り雨』

はっとする冷たさに
憂鬱は攫われた
愁いしとしと流れ落ち
燈ゆらゆら灯る
率爾な雨音の報せに
閑静に苛まれた心が
ふと我に返る
喧騒まがいの序奏は
穢れを洗い流していく

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