3/13/2025, 10:40:19 AM
『透明』
淀んだ霧雨が窓をつき
庭の水面はゆらぎざわめく
霞に沈んで彷徨っては
つまずきころんで泣いている
遠く離れた静寂の中
何かを忘れて泣いている
弛んだ空気に噎せ返っては
鈍色の孤独が邪魔している
透明なたったひとつの欠片が
冷たい頬から零れぬよう
錆びた思い出を忘れぬよう
涙を堪えて笑っている
3/8/2025, 1:15:17 PM
『秘密の場所』
あなたと歩いたあの軋む想い出は
夜に翳る霞んだ光のよう
変わり続ける掠れた旋律と
木漏れ日に濡れた小さな言葉
それは凡て朽ち果て忘れ去られたとて
未だわたしの胸懐に小さく揺らめいている
だから遠い遠いあくる日の
独りよがりの静寂(しじま)を越えて
あなたにまた会えますように
1/29/2025, 2:58:21 PM
『日陰』
小さな脚音鳴りひびく
裏路地猫は帰路につく
荒れた故郷に白痴の音
枯れた樹木の落とす陰
木漏れ日は舞いおどり
水平線に暮れる夕陽は
朧気な憂鬱を攫いゆく
12/7/2024, 2:52:22 PM
『部屋の片隅で』
遠くぼやけた境界線に
うつつに映った白い靄の
面影はいつしか明暮に帰す
まるで埃被りの童話のよう
林檎のような雫が堕ちた
古惚けた床は微かに軋む
絶えず光射す部屋の片隅は
未だ癒えぬ傷跡と共にある
11/20/2024, 4:03:58 PM
『宝物』
乖離する神々の介入と
悪辣たる叛逆の芳詠
懊悩たらしめる無秩序の
叛逆者曰くアポトシース
粉灰たる追憶の片鱗に
未だ偽る改竄の痕
腐敗する虚言の誤謬と
痼疾たる盲目の亡命
煩悩に誑し込む冒涜の
盲目奴騙るアポテトシス
悠久たる開闢の使者に
未だ臠(みそなわ)す朧気な過去