yukimino

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10/14/2022, 3:46:07 AM

『子供のように』

今バスに揺られて窓の外を眺める
行く先も何も分からないまま
一人でゆられている
錆びたガードレールと街路樹の落とす陰
ただ目の前を流れ続けている

小雨が降り始めて
日も少し傾いた
防災無線から掠れた時報
閑静な住宅街からは自販機の電子音
どことなく似ている
私が知っている昔と

よく思い出せないけど
楽しかった記憶
今ガードレールや街路樹はビルに変わり
電車は騒々しく思考を攫う
明日も明後日も繰り返し
忘れてしまった母の言の葉

たまには有給でもとって
忙しく走り回ってはしゃぐ
子供のように

10/1/2022, 1:16:18 PM

『たそがれ』

たそがれまじりのそらのねは
よけてくれないあまおとならす
じっとみつめるまなざしの
そのさきのゆううつなすいへいせん

9/25/2022, 10:24:14 AM

『窓から見える景色』

日は沈み
窓の外を眺める私
夜の散歩という名目で
逃げ出したい心模様
光に苛まれ
星のひとつさえ見えない夜空に
こっそりとこっそりと
逃げ出したいのに

網戸越しに見える景色は
少し荒めのドット絵で
寂しく感じるんだ
くだらないって思うんだ
そうして夜は明けてしまい
いつ来るか分からない冬に
怯え閉じこもるのだろう
きっと明日も晴れ模様
そう信じて歩けばいいのに

冷たい窓に手を触れ
遠くをぼんやりとながめる
うつつにうつったタワーマンションの灯り
ぼんやりぼやけたひとつのヘッドライト
ひんやりひえたコンクリートの壁
私もそうやって窓の向こうに見える
閑静な夜に隠れたい

9/20/2022, 12:56:37 PM

『大事にしたい』

忘れていた
いつの日か「私」が消えること

知っていた
いつの日か「私」が消えること

「消えたくないんだ」

命という名の灯火は小さくなって
やがて消えてしまうこと

「私」という名の記憶は時の風に攫われて
やがて消えてしまうこと

「消えたくないんだ」

消えること

消えること

「私の存在が証明される今のうちに」

消えないように

消えないように

9/18/2022, 4:38:05 PM

『夜景』

自宅の仕事机から窓の外をふと眺める
遠ざかる無数のテールライト
今部屋の灯りがひとつ消えた遠くのタワーマンション

明後日頃に台風が来るという予報を聞いて
嫌に鳴る冷えた空気に怯えている
溶けかけたアイスを投げ捨てて
夜景の見えない部分が汚れてしまった世界

明日も同じ景色だってのに
何かに焦って違いを見つけようとしている
変わらない 分からない やるせない
まるで私も夜景みたいな孤独感

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