『子供のように』
今バスに揺られて窓の外を眺める
行く先も何も分からないまま
一人でゆられている
錆びたガードレールと街路樹の落とす陰
ただ目の前を流れ続けている
小雨が降り始めて
日も少し傾いた
防災無線から掠れた時報
閑静な住宅街からは自販機の電子音
どことなく似ている
私が知っている昔と
よく思い出せないけど
楽しかった記憶
今ガードレールや街路樹はビルに変わり
電車は騒々しく思考を攫う
明日も明後日も繰り返し
忘れてしまった母の言の葉
たまには有給でもとって
忙しく走り回ってはしゃぐ
子供のように
10/14/2022, 3:46:07 AM