【嵐が来ようとも】【澄んだ瞳】【だから、一人でいたい。】
嵐が来ようとも君は穢れないって誰かが言ってた。嵐の日はどんな澄んだ瞳でも曇って気をおかしくしてしまうんだって。
「なんで、そんなに曇らないの?」
「あなたも曇ってない。同じでしょ?」
僕が曇っていたってきっと君は気づけない。嵐の日に小屋に君と二人きり。君に噛み付いてしまいそうでおかしくなりそうだ。だから、一人でいたい。曇る、曇らない。晴れる、晴れない。嵐の日にはいつだってうたを歌う。君が雲らないように、と。願いを込めて。名付けるならば鎮魂歌。
【お祭り】
お祭りの夜は22時以降には外に出ないこと、って。神様が来ちゃうからって出して貰えないって。去年、お祭りの夜に22時以降外に出ちゃった隣の家の子はさらわれちゃったんだ。でもあの時あの子は探しに行くって言ってた。じゃあ、私も探しに行かなきゃって、何故か思ってしまったの。外へ出て一分。
「今年は君か。すぐにお友だちのところに連れて行ってあげる。」
神様なんかじゃなかった。この街から助け出してくれる不思議ななにかだった。
【神様が舞い降りてきて、こう言った。】
ある日、光を見た。自然と目が釘付けになるような、地上に刺す一筋の光。ある日、神様が舞い降りてきて、こう言った。
「君らはもうじき死ぬんだ。防ぐためには、生贄を用意しろ。」
なんて、馬鹿げた話。それだけ告げてどこかへ行ってしまわれた神様にみんなてんやわんや。生贄は何人? どこに向かわせる? そんな具合。きっとこれのことなんだ。これが死ぬ羽目になる。壊れていくんだ、人の心が。神様はゲームがしたかったんだ。退屈だ、と。誰か乾いた自分の心を癒してくれるのか、と。
【鳥かご】【誰かのためになるならば】
鳥かごの中に入って誰にも責められぬように蓋をした。誰かのためになるならば、誰かのためであるならばこのかごを出ようかとも思ってた。でも、出る必要なんてないね。私が私であるために鳥かごで飛べる範囲を狭めたんだ。
【友情】
言葉を砕いて諦めた。友情を散りばめて探しに来てくれるよう願った。
「君ならしてくれるんだろ。」
そんな淡い期待と馬鹿げた理想を突きつけて言葉のナイフを君へと向けた。許してくれなんて言わないからせめて、命乞いだけさせてくれ。
「死にたくないから生きてやるさ。」
生きて呪われ縛られた。自由なんてきっと最初から無かったのかもしれない。