【静寂に包まれた部屋】
ここは落ちつく
周りは薄暗く、動くものはない
小さな明かり取りの窓からは、月明かりがうっすら差し込んで室内に静寂を与えている
それ以外にこの部屋は外とは完全に隔絶されている
ああ、幸せだ
私のつぶやきは薄闇に吸い込まれていく
ここは静かで何もない
私はこの静寂を愛している
まもなく夜が明ける
窓から差し込む白々とした光は、青く紫へ、暖かなオレンジ色へ変化していく
私がここから出ることはない
【別れ際に】
あの時なんて言ったの?
あとで聞けばいいと思ってた
なのに君は居なくなってしまった
もう二度と会えない
その声ももう聞けない
【通り雨】
ねえ、行かないでよ
もう少しだけここにいて
この雨が止むまで
【秋🍁】
朝の散歩が気持ちよくなってきた
君の足取りも軽やかに感じる
ちょっとだけ肌寒さを感じるようになった
人恋しくて
君をそっと抱き寄せる
暖かな君の毛に顔を埋める
吸い込んだ空気に秋の匂いがした
顔を上げると君の迷惑そうな顔があった🐺
【窓から見える景色】
夢でみた
窓越しに昔の私
あの人に優しい罵詈雑言を浴びせられている
ガラス一枚向こう側で
過去の自分が傷だらけになっている
あの部屋には窓なんか無かったはず
つまりは夢だとわかる
四畳半ほどの部屋で膝を付き合わせている
私の恐怖が窓越しに伝わってくる
あの人が笑っていた
口のはしを持ち上げて笑顔を見せる
「さあ、やってごらん」
ああ、窓越しの私がゆっくりと口のはしを持ち上げている
しかしそれは全く笑顔にはならなかった
心臓がギリギリと音を立てる
ああ、もう、やめてくれ
過去とはいえ、これ以上私を傷つけないでくれ
助けようと手を伸ばして
ガラスは柔らかなビニールのように伸びるばかりで
一向に手が届かなくてもどかしい
拳を振り上げたところで目が覚めた