#47 友情
友だちって
たとえば空のような
そういう類のひとつ同じ屋根の下で
実は一緒に暮らしていたりする
そんな関係性の人を言うのだと思う
知りたい気持ち
知ってこそより好きになる気持ち
そういう感情の存在も解っているけど
わたしは
相手を知りすぎない状態も
同じくらい好きだし
大切にしている
たまに共有する時間に垣間見える
そこはかとない味方感に
心がすっかり
頼りにしてしまうことがある
そういうのがうれしくて
たまらなく好きだ
そしてわたしも
限りなく同等な近しいものを
与えられているのだと自惚れられる
それもまた、うれしい
すこしだけ遠くにいる
わたしの幾人もの友だち
また近々、もしくはちょくちょく
小さな屋根の下でおしゃべりするのだ
それにわくわくする日々こそ
友情を育む日々
#46 失恋
失恋したことはない
恋をしたことがないからではなく
両想いを望まないから
理解してもらおうなんて思わない
自分でも理解はできないから
でも恋愛を賛美されたり
失恋で切なさを語られると
たまに「もういいよ」と突き放したくなる
着る笠は死ぬまで無いし
死んだあともできない
冷たい雪に埋もれて
お前は生きていて何が楽しいのか、と
笑えていない眼差しで問われ続けるんだ
今日は
わたしは
怒っている
#45 愛を叫ぶ。
愛は叫べない、
言葉じゃないから。
だけど
愛の叫びは聴こえる、
偽物じゃないから。
きみの瞳に、仕草に、やさしさに
静かな愛の叫びを聴いている。
だから
ぼくは安心して、味方になって
囁くように、きみに愛を叫ぶ。
#44 忘れられない、いつまでも。
降りしきる眼前の情報
静かな森に閉じ込められた
忘れたくない記憶の淵に
流れ込んできては
様々なものと絡み合って風化させる
あなたは白い掌だ
わたしにそっと触れてきて
石碑の文字を慈しむように
湿った緑の覆いを払ってくれる
涼しく、孤独で、密やかな深淵に
植物を気にしながらも
知りたいという欲望に駆られて
立ち入ってくる
死体は実のところ、どこか
掘り返されたがっているのかもしれない
だからわたしは
安らかに埋葬された記憶を
忘れることができないのだ
いつまでも、ずっと
#43 一年後
過去に確かに在った
ある一定の一年間を思い返してみる
肩書きの変化はあれど
ゲームのログのような
思い出の証のためだけに作られた
形に残るお土産めいたものは
あまりなかった
作品を作ることは
自分を遺すことだ
だから、つまり、わたしは
わたしに纏わるものを
なるべく残しておきたくなくて
持ち物を減らそうという思考を取ってきたけれど
その実、結局は、
わたしの毛嫌いしている
「わたしが生きた証」を創作することに
拘り続けている
認めたくはなかったけれど
きっと、一年後、一年前の今を物語る
作品を見返したいと思うのだろう
x歳x日の自分を
少しでも覗き込んでみたいと思うのだろう
まるで他人のように
だからわたしは
毎日続けようと思う
書くことと読むことを
毎日続けようと思う