小砂音

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7/24/2023, 4:45:29 PM

#47 友情

友だちって
たとえば空のような
そういう類のひとつ同じ屋根の下で
実は一緒に暮らしていたりする
そんな関係性の人を言うのだと思う

知りたい気持ち
知ってこそより好きになる気持ち
そういう感情の存在も解っているけど
わたしは
相手を知りすぎない状態も
同じくらい好きだし
大切にしている

たまに共有する時間に垣間見える
そこはかとない味方感に
心がすっかり
頼りにしてしまうことがある

そういうのがうれしくて
たまらなく好きだ

そしてわたしも
限りなく同等な近しいものを
与えられているのだと自惚れられる
それもまた、うれしい

すこしだけ遠くにいる
わたしの幾人もの友だち
また近々、もしくはちょくちょく
小さな屋根の下でおしゃべりするのだ

それにわくわくする日々こそ
友情を育む日々

6/3/2023, 1:29:17 PM

#46 失恋

失恋したことはない
恋をしたことがないからではなく
両想いを望まないから
理解してもらおうなんて思わない
自分でも理解はできないから

でも恋愛を賛美されたり
失恋で切なさを語られると
たまに「もういいよ」と突き放したくなる

着る笠は死ぬまで無いし
死んだあともできない
冷たい雪に埋もれて
お前は生きていて何が楽しいのか、と
笑えていない眼差しで問われ続けるんだ

今日は
わたしは
怒っている

5/12/2023, 3:44:17 AM

#45 愛を叫ぶ。

愛は叫べない、
言葉じゃないから。
だけど
愛の叫びは聴こえる、
偽物じゃないから。

きみの瞳に、仕草に、やさしさに
静かな愛の叫びを聴いている。

だから
ぼくは安心して、味方になって
囁くように、きみに愛を叫ぶ。

5/10/2023, 5:12:21 AM

#44 忘れられない、いつまでも。

降りしきる眼前の情報
静かな森に閉じ込められた
忘れたくない記憶の淵に
流れ込んできては
様々なものと絡み合って風化させる

あなたは白い掌だ

わたしにそっと触れてきて
石碑の文字を慈しむように
湿った緑の覆いを払ってくれる

涼しく、孤独で、密やかな深淵に
植物を気にしながらも
知りたいという欲望に駆られて
立ち入ってくる

死体は実のところ、どこか
掘り返されたがっているのかもしれない

だからわたしは
安らかに埋葬された記憶を
忘れることができないのだ
いつまでも、ずっと

5/8/2023, 10:33:47 AM

#43 一年後

過去に確かに在った
ある一定の一年間を思い返してみる
肩書きの変化はあれど
ゲームのログのような
思い出の証のためだけに作られた
形に残るお土産めいたものは
あまりなかった

作品を作ることは
自分を遺すことだ

だから、つまり、わたしは
わたしに纏わるものを
なるべく残しておきたくなくて
持ち物を減らそうという思考を取ってきたけれど
その実、結局は、
わたしの毛嫌いしている
「わたしが生きた証」を創作することに
拘り続けている

認めたくはなかったけれど
きっと、一年後、一年前の今を物語る
作品を見返したいと思うのだろう
x歳x日の自分を
少しでも覗き込んでみたいと思うのだろう
まるで他人のように

だからわたしは
毎日続けようと思う

書くことと読むことを
毎日続けようと思う

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