ぴーひゃら、ぴーひゃらと祭りばやしが鳴り響く。
突如、中心でトドンという大きな音が聞こえた。周り人々が一斉に振り向く。
これから始まるのだ。
事前に待ちわびていたファンやあることを知らない人も巻き込んで、あの子のステージが広がる。
幸せな仲間につつまれて、あの子はめいっぱいの笑顔を晒す、
それが、嫉妬の原因でもあるけど、あの子が楽しいならそれで……。
「パチンっ」
自分の頬を打った。ステージに夢中な観客は、その音すらも聞こえずに立ち尽くす。
あの子の仕事は、私を笑顔にさせることじゃない……。
みんなを笑顔にさせること。息を大きく吸い、
さぁ、あの子みたいにはしゃごうか。
テーマ『お祭り』
「終わりにしよっか?」
そう、彼の口が開いた。
「……えぇ、やだ。もうちょっとだけ」
年甲斐もなく、駄々をこねる。
「うーん?ちょっとだぞ」
渋々と、彼は隣に置いたコントローラーを拾った。中心のテレビ画面では、操作する二人のキャラクターが飛んで沈んで、お姫様を世界を救うための冒険の途中。
本当はとっくのとうに、このゲームには飽きた。クリアしても、永久に続く。今、私たちがクリアしてもどこかの誰かは途中だし、10年後にやっとスタートすることもある。同じ物語はフィクションだけでいい。
ただ。
彼の傍にいるきっかけ……。
だから、終わりにはさせない。
お題:終わりにしよう
「にひひ」
ときみが笑った。
嘘、偽りにも見えない笑顔で。
これは本当なのだろうかって不思議になる。何度も繰り返し見た映像での笑顔と少し違うから。映像はやっぱり偽物。同じ笑顔をただくり返す、からっぽの意思。
胸のときめきは段々崩れて……。
だったら、
この目の前の笑顔は本物。
目にしているのは、きみの唯一?
愛おしさの籠った、この笑顔は不安にさせるほど幸せで…………
泣きそう。
お題『目にしているのは』
同担拒否の何が悪い