「終わりにしよっか?」
そう、彼の口が開いた。
「……えぇ、やだ。もうちょっとだけ」
年甲斐もなく、駄々をこねる。
「うーん?ちょっとだぞ」
渋々と、彼は隣に置いたコントローラーを拾った。中心のテレビ画面では、操作する二人のキャラクターが飛んで沈んで、お姫様を世界を救うための冒険の途中。
本当はとっくのとうに、このゲームには飽きた。クリアしても、永久に続く。今、私たちがクリアしてもどこかの誰かは途中だし、10年後にやっとスタートすることもある。同じ物語はフィクションだけでいい。
ただ。
彼の傍にいるきっかけ……。
だから、終わりにはさせない。
お題:終わりにしよう
7/15/2022, 3:44:45 PM