8/31/2023, 7:08:51 AM
夏が過ぎ去り、秋へと移りゆく頃の風が僕の頬を優しく撫でる。
土曜日の街角広場には、子供達が駆け回り、道行く人達の笑い声が響き、優しい陽の光が差す。
向こうから、褐色のトレンチコートに身を包んで、洒落た小ぶりのバックを肩にかた綺麗な女の人が、黒いハイヒールを鳴らして歩いくる。
上品なサイズのフープピアスは歩く度に揺れ、褪せたルージュの唇がクールでアンニュイな人。
ただすれ違うだけだった。
懐かしい香りがほのかに僕の鼻を掠めた。
その時に風さえ吹かなければ、気づかなかったかもしれないと、少しだけ風を恨みたくなる。
大好きだったあの人の香りは、今でも胸のどこかに染み込んで、忘れられない。
_香水_
8/29/2023, 3:34:28 PM
𝒩𝑜.1
言葉はいらない、ただ傍に居られたら良い。
そんな都合のいい事を彼の前で強がって言ったけれど、本音を言えば不安で堪らない。
本当に愛されてるのか、私は貴方の何なのか。
けれど言葉にしたところで、不安が消える事は無いのだろうと心の片隅では分かっているのだ。
やはり、言葉はいらない、ただ…
_言葉はいらない、ただ…_