天然だよね。
そう言う君は鈍感だよね。私が転ぶ度に支えてくれて、心配してくる。普段からあんなに転ぶ訳ないのに。私が言うのもなんだが、週3くらいで転んでるんだから、少しは怪しんだほうが良い。
忘れっぽいのも、靴下を間違えちゃうのも、空気を読むのがヘタクソなのも。全部全部、君のせいなんだよ。
「ちょっとドジで天然な子が好きだなぁ。守ってあげたくなるような子」
だってドジで天然なくせに。先週も思い切り机に頭をぶつけたのを見てた。心配したのと同じくらい、むしろ私が守った方がいいんじゃないの?って思った。ドジなフリしてるけど、君より断然守れるよ。
でも、そんな事を行ったら離れてしまいそうで。いつまでも君の好きなタイプを演じてしまう。何気なく君の好きな香りを纏って、何気なく君と好きな食べ物が同じフリをする。全部君の為の、何気ないフリ。
本当の私はこんなのじゃないけど。君に見つめられるのなら、何にだってなってやる。
好きじゃないし、といつまでも意地を張る姿がかわいらしい。いや、そろそろ認めてほしいけれど。
こっちはもう沢山愛して甘やかす準備が出来ているのに。君は一向に認めてくれない。
「いつになったら好きになってくれるの?」
「……百年後」
「お。この前は『アンタなんか好きじゃないしならない!』って言われたけど、進化した」
「っ……本当、ポジティブだよね……」
そりゃあそんな真っ赤になられたら、期待するしか無いじゃん。
最初はおれだって不安で、君に告白したのもダメ押しだった。しかも、返事は保留。失恋確定だと思ってたけど。
健気なおれはそれでも時折話しかけた。……諦めが悪いんじゃない、多分。
君は全然話してくれなかったけど、顔がさくらんぼみたいに染まってて。
あれ、この反応、と。君はすごく綺麗だから、恋愛経験が無いわけでも無いだろうに。
ぐっと近付けば逸らされる顔。負けじと覗き込んだら上を向かれたのだ。
「……な、なに」
「んー……?別になんにも。そっちこそなんでおれの方見てくれないの」
「私もなんでもないし。ほら、離れて!」
そう言われて仕方なく距離を取ったっけ。あの時もっとグイグイ行っとけばとっくに恋人になれてたかなぁ。
ぼーっとそんな事を考えていれば、真ん前に居た君に心配そうな目で見つめられた。
「……」
「そんなに見られると恥ずかしいよ」
「見てないけど」
相変わらずツンツンしてる。かわいいけど、いつまでも折れない所は、ちょっと好きじゃないかも。
(追記 お題若干捉え間違えました……すみません。)