誇らしさ
彼は勉強ができない
彼は料理ができない
彼は歌が上手く歌えない
だけどね
彼は運動が凄く出来る
彼は紅茶を美味しく淹れることが出来る
彼は裁縫が上手にできる
そして彼は、誰よりも努力家だった
そんな彼が、私にとっては誇れる自慢の弟だ。
#夜の海
静かな波の音。
吸い寄せられるような深い青色の海
そんな海に映される金色の月
この季節になると、少し涼しい夜の空気も心地良物に変わる
この場所は、彼と僕だけが知る秘密の海岸沿い。
僕と彼が、初めて会った場所。
月明かりに照らされながら
ぽつんとあるヤシの木の丸太に腰掛けて、二人で笑いあった場所。
その時間は、周りが明るく輝いていたような気がした。
そんな場所は、今は僕以外に誰一人としていない、僕だけの秘境の地と化していた。
平坦な道でも、登り道でも、下り道でも。
君と進んでいく道は、いつも希望に満ち溢れ、キラキラと輝いていた。
君となら、どんな険しく暗闇の道でも、楽しく進んでいけると思ったんだ。
#自転車に乗って
辛い、苦しい、痛い
理由も分からず胸が苦しくなって、涙が溢れて零れ落ちて、更に苦しくなる。
「お前はいつまでも健康でいろよ!!」
そういう彼の顔が頭に浮かぶ。
いつでも笑い、自分の方が辛いはずなのに僕のことを気にかけてくれていた彼の顔が。
「……きみが…僕の健康を、害して…ッ…どうするんだよ…」
冷たくなった彼の手、閉じられた瞳。
「お願いだから…目を…覚ましてよッ…」
君のせいで、僕は心が痛いよ。
# 心の健康
「〜〜〜♪〜〜〜〜♪♪〜〜〜〜〜〜♪」
僕が落ち込んでいる時、悩んでいる時。その音色は聞こえてくる。
緩やかで、それでいて力強く、透き通るような音色。
不安な気持ちが、辛い気持ちが、この音を聞けば、いつだって落ち着く気がした。
彼が奏でる音色は、いつだって僕に安心と安らぎをくれた。
彼だけが奏でられる、彼だけの音、音色、声音
それは、僕にとって何よりの心の支えだった。
「〜〜♪……俺で良ければ、相談くらい乗ってやるから、一人で抱え込むな」
そして、彼は僕にとって、世界一大好きな人であり、唯一の光だった。
#君の奏でる音楽