蓼 つづみ

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11/5/2025, 10:39:59 AM

「この瞬間が止まってほしい。」君の吐息の届くそばで僕は呟く

「時が止まれば永遠は観測出来ないね。私は永遠を信じてる。」
君の言葉で、僕の熱に永遠なんて概念を持ち込まれると、
感情の火に冷水を浴びせられたみたいで、はぐらかされた気分だ。

永遠を願う君の想いと、時を止めたい僕の祈りは、
根っこで同じものを求めているのにさ。

もし時が止まるなら、光も、音も、僕の鼓動も、君の瞬きさえも、そのすべてが静止し、誰ひとり取り残されない。

もし永遠が叶うなら、枯れることなく、僕らは歩き続けるだろう。

だけど、理屈としての永遠や静止が欲しいんじゃない。
今この熱を、ただ残したいという幻想なんだ。

――――だから僕は、君を抱きしめる。

題 時を止めて

11/4/2025, 12:07:47 PM

それは、空気が急にやわらぐような香りだ。
風のなかに溶けた蜜が、気づけば頬を撫でている。
甘いのに重くなく、懐かしいのに正体が掴めない。

枝のあいだで小さな橙の星々が群れて咲き、
ひとひらひとひらが、光の粒のように揺れる。
見上げれば、陽の射す木漏れ日の中で
金色の粉を散らすようだ。

香りは、過去を連れてくる。
あの日の帰り道、ランドセルと長靴と水たまり。
誰かの笑い声。手のぬくもり。

眩しい夕日の中、記憶の奥で乾いた頁をひらくように、
金木犀はそっと、季節をめくる。

題 キンモクセイ