Frieden

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3/7/2025, 10:05:36 AM

「風が運ぶもの」

風が運ぶもの。それは季節。
あたたかさもつめたさも、はじまりもおわりも。

風が運ぶもの。それは雲。
晴れ間も虹も、雨も雪も。

風が運ぶものっ……それはっ……ハークション!!
それはっ……花粉っ……!

今日もくしゃみがっ……止まらな……ックション!!
せっかくの春なのに……!!

3/6/2025, 10:11:12 AM

「question」

わたげちゃん。うちの子になってくれてありがとう。
ねぇ、どうしてうちの子になってくれたの?
どうしてそんなに可愛いの?

まっしろふわふわの毛、青い目、ピンクの鼻、ちいさな肉球。
どれをとっても魅力的。とってもとっても魅力的。

こんなに可愛いのに、どうしてひとりぼっちだったの?

あれは2年前。雨の夜の中、ぶるぶる震える小さな白い毛玉を見つけた。近づいてから初めて子猫だと分かった。

どうしたらいいのか分からなかったからとにかく急いで暖めて、動物病院に連れて行って。絶対に守らないと!その気持ちだけで動いた。

そのあときみは頑張って回復して、初めてかわいい声で鳴いた。あんまりかわいかったから私、倒れそうになっちゃって。頑張った甲斐があったなぁって思って。本当に嬉しかった。

わたげちゃん。ふわふわわたげちゃん。

これからもずっと一緒にいてくれる?

……なんていう問いに答えようとすらせず、わたげは日向ぼっこを続けていた。

3/5/2025, 12:09:02 PM

「約束」

世の中には色んな約束事がある。
科学、法則、法律、時間。
そんな約束事の数々に毎日毎日追われて、そろそろ疲れてきた。

全てから解放されたとしても、「死」という約束事からは逃れられない。でも、死は全てを受け入れてくれる。つめたくてあたたかい。

約束はひとをなかなか死なせてはくれない。無理矢理にでも、命をこの世に繋ぎ止める。だってそれがお約束だから。
でも、必ず死は全てを訪れる。だってそれが約束だから。

約束を果たさないために、約束を果たす。

今日も約束事に追われて、転びかけて、苦しむ。

3/4/2025, 10:02:55 AM

「ひらり」

太陽の花びらはらり 勇気が心を温める
満月の青葉ひらり  静けさが心を飾る
真夜中にふらり   そこには誰もいない
孤独にへらり    乾いた笑いが出た
透明の涙ほろり   風が涙をふいた

3/3/2025, 10:08:50 AM

「誰かしら?」

今日も変わらず、穏やかで平和。
これもあの方が作った機械の少年のお陰。
こんな時間が死ぬまで続くのは、とても幸せ。

鳥籠に守られて、私は美しく生きる。自由に生きる。

そんなある日、誰かがこの世界に来た。

誰かしら?

私にお客さんはいないはずなのに。

そんなことを考えながら、私はそっと戸を開けた。

「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……?」
聞こえるのは懐かしい声。
ずっと会いたかったひとの、懐かしいあの声。

「博士……?」「あぁ、そうだよ。久しぶりだね。」
「ずっと逢いたかった……!私はずっと寂しくて、あなたに逢いたくて逢いたくて仕方なかった!」

「でも、あなたは本当に博士なの?あなたは亡くなったはずでしょう?」「私のことを亡霊だと思っているのかい?」「……あなたに逢えるのは嬉しいけれど、でも……。」

「……とても信じられないの。あなたは私の名を知っているから、あなたは偽物ではない。それならこれは夢?」
「夢じゃないよ。私は本物だ。」

「君が心配で会いに来たんだよ。」「本当に……?」「ああ。」
「せっかくだから、少し話をしようか。」「ええ、喜んで!」

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へへっ、お互いが嬉しそうでよかったよ。
提案した甲斐があった!

さて、ボクは仕事の続きをしようか。

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