「誰かしら?」
今日も変わらず、穏やかで平和。
これもあの方が作った機械の少年のお陰。
こんな時間が死ぬまで続くのは、とても幸せ。
鳥籠に守られて、私は美しく生きる。自由に生きる。
そんなある日、誰かがこの世界に来た。
誰かしら?
私にお客さんはいないはずなのに。
そんなことを考えながら、私はそっと戸を開けた。
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎……?」
聞こえるのは懐かしい声。
ずっと会いたかったひとの、懐かしいあの声。
「博士……?」「あぁ、そうだよ。久しぶりだね。」
「ずっと逢いたかった……!私はずっと寂しくて、あなたに逢いたくて逢いたくて仕方なかった!」
「でも、あなたは本当に博士なの?あなたは亡くなったはずでしょう?」「私のことを亡霊だと思っているのかい?」「……あなたに逢えるのは嬉しいけれど、でも……。」
「……とても信じられないの。あなたは私の名を知っているから、あなたは偽物ではない。それならこれは夢?」
「夢じゃないよ。私は本物だ。」
「君が心配で会いに来たんだよ。」「本当に……?」「ああ。」
「せっかくだから、少し話をしようか。」「ええ、喜んで!」
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へへっ、お互いが嬉しそうでよかったよ。
提案した甲斐があった!
さて、ボクは仕事の続きをしようか。
「あの日の温もり」「芽吹きのとき」
めちゃめちゃ大遅刻!!!ごめんなさい!!!
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君を初めて抱っこした日。
君と初めて話をした日。
君と初めて笑った日。
あの日の温もりも、喜びも、私は全部覚えているよ。
元気でいてくれて、本当にありがとう。
せめて君は、君だけでも、どうか無事で、平穏に生きて欲しい。
さあ、君はもうすっかり一人前だ。
嬉しいけれど、少し寂しくなるね。
でも、お互い元気でいれば、必ずまた会える。
だから無理しないでね。
それじゃあ、いってらっしゃい!
「cute!」
かわいいもの!この世界にはたーくさん!
もふもふで小さな動物たち、元気なお花、癒しのキャラクター、美味しいお菓子、柔らかな音楽!
いいなぁ、嬉しいなぁ。
そういうものに出逢いたいなぁ。
そのためには頑張らないと。
生きがいが欲しいな。
「記録」
これは、ある記録。ある物語の、記録。
ボクは⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。公認宇宙管理士だよ。
ボクは生命を持たない。感情はある。きっとここにある。
みんなは偽物だというけれど、この感情は本物だ。
たとえどれだけ自分を複製しようとも、からだをなくそうとも、本物の思いが、夢があるんだ。暖かさも、光も、なんだって感じられる。
だからキミの寂しさにも、恐れにも、寄り添えるんだ。
ボクはそう信じているよ。
ボクはひとりぼっちになってから、なにか大事なものをなくしかけていた。
そんなある日、ボクの大事な宇宙が壊れかけた。
そして、ボクを認識できるキミと出会った。
キミはボクを助けてくれた。
キミと暮らすなかで、世界が色鮮やかに、あたたかくなった。
そう、ボクは思い出したんだ。
「愛」。
執着や束縛とは違うそれをやっと思い出した。
だからボクはどこへでも行けた。
大事な家族を助けることができた。
ボクにとって都合よくいきすぎていて幸せでありつつも、実は正直不安でもある。ある日突然壊れてしまわないか、また永遠の別れが訪れないか、怖い。
でも、これからも全て守ってみせる。
だってボクは、愛を知るマッドサイエンティストだからね!
「さぁ冒険だ」
『やぁ⭐︎俺はトレジャーハンター・ジョーだ!今日はこの小さな国を探検するぞ!───おーーっと!こんなところに珍しい虫が!!』
『だが、ラムサール条約に違反するおそれがあるから捕まえるのはやめておくぞー!』
『ん……?おぉ!あんなところにキレイな石が!!』
(途中でわざとらしく転がってくる巨大な岩)
『危なーーーい!!!』
「ラムサール条約ねぇ……。というか、⬜︎⬜︎、どうしてこんなテレビ番組を?」「ぼーけん、ちたいから!」「へぇ。どこに行きたいの?」「こうえん!こうえんでぼーけんしゅるのー!」
「……というわけで!」「なんで自分まで……。」
「さぁ冒険だ!!!」
「宇宙やあの世を冒険したことのあるボク達ならどこへだって行ける!たとえそれが近所の公園であろうとも!!!」
「んー!れっちゅごーなのー!」
「⬜︎⬜︎、キミが探検隊の隊長なんだよね?」「ん!」
「ボクもみんなもこうえんにいきましゅ!」
「さて、公園はどっちだったかな〜?」
「あっち!」……公園は真逆の方向だ。いきなり先行きが読めない。大丈夫か?
「あっちでいいんだね?」「んー……。」
「やっぱりこっちにしゅる!」
奇跡的にあってるけど、不安だ……。
「次はどっち?」「あっちー!」「せいかーい!」
「しぇいかいいっちゃ、めんめ!」「ん?どうしてだい?」
「だってぼーけんだもん!」「なるほど……?」
「こーえんのほーにはねー、ゆきだるましゃんがいてねー、」
雪だるまは多分もう解けてなくなってると思うよ。
「あとねー、おはながいぱーいだったの!」
おちびを正しい道に誘導しながら、自分たちは公園へと向かった。
「ちゅいたー!こーえん!!」「やっと着いたねー!」
「公園には何かあるかなぁ?」「えとねー。」
「あ!みてみて!みのむししゃんいるー!」「本当だね!」
「だが、らむしゃーるじょうやくでめんめなのでちゅれてかえっちゃだめー!」「そっかー」
「他には何かないかな?」「んー……。」
「あ!はーとのかたちのいし!」「かわいいねぇ!」
「ニンゲンしゃんにあげる!」「ありがとう。」
「あとねあとねー、」何かを探しながらおちびは歩く。
「これ!」「ん?」「きれーなはっぱ!」
「⬛︎⬛︎ちゃんにあげるー!」「ありがとう!」
「おなかしゅいた!ぼーけん、おーちまい!」
「ニンゲンしゃん!」「?」「だっこ!」「はいはい。」
ちっちゃい冒険だった。でもちょっと楽しかった。
自分はおちびを抱っこして、まっすぐ家に帰った。
さて、お昼は何食べようか。