Frieden

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1/10/2025, 10:09:34 AM

「星のかけら」

……おや、こんな森の奥深くまでよく来られましたね。
ようこそ、私の隠れ家に。

今日はどのようなご用で?
……なるほど、そういうことでしたか。

それなら、きっとこれがいい。

これは、星のかけらを集めて作ったチョコレートです。
きらきらしていて、美しいでしょう。
……食べられるんですよ?

気持ちと祈りを込めて星のかけらを頂くと、星の加護が得られると言われています。

お悩みのあなたにぴったりのお菓子だと思って、このチョコレートをお出ししました。
さあ、遠慮なくお召し上がりください。

どうですか?甘くて美味しいでしょう。

……どうかしましたか?
後ろの棚に置いてあるそれが星のかけらなのか、ですか?
ふふふ、これはただの金平糖です。

ですが、あなたにお渡ししたのは本物の星のかけらですからご安心を。

……もう外も真っ暗です。そろそろお帰りになられては?
私も、この森も、いつでも待っていますよ。

だからまたいつか、おいでください。

1/9/2025, 3:44:52 AM

「Ring Ring...」

Ring Ring... 音が聞こえる
頭の中に数多の音が聞こえる

この音はなんの音だろう?

おばあちゃん家の古い黒電話?
話し声は聞こえない
沈黙だけが聞こえる

寒さに抵抗するコオロギの歌?
虫の声は聞こえない
冷たい風の音だけが聞こえる

季節外れのサンタクロース?
子どもの笑い声は聞こえない
黒いノイズだけが聞こえる

へたくそなリストのラ・カンパネラ?
ピアノの音は聞こえない
歯車が壊れる音だけが聞こえる

頭痛の音?
苦しむ声は聞こえない
いやに甲高い頭の悲鳴だけが聞こえる

この音はなんの音だろう?
もうとっくに答えがわかっているはずなのに、何度も何度も自分の頭に聞いてみる。

この音は冷たく固まった私の頭の中で、これまた冷たく縮んだ中身がたてる音。

助けを求めて出す、私の悲鳴。
どこにも届かない、私の悲鳴。

Ring Ring...
この音が聞こえたなら、どうか───


わたしをたすけて?

1/8/2025, 9:52:28 AM

「追い風」

僕にとって君は、いつも背中を押してくれる温かい追い風みたいな存在だった。

不安な時、迷っている時、どんな時でも一緒にいてくれて、僕はとても、とても幸せだった。

君がいてくれるだけで、それだけでよかった。

でも、僕は君のことが好きな自分に夢中で、君の気持ちに気づかなかった。君が苦しんでいることに、気づけなかった。
あんなに好きだったのに。

君は僕の行けないところに行ってしまった。天国とか地獄なんて呼ばれているところに、行ってしまった。

最後に君が見せたのは、いつもと変わらない笑顔だった。
また明日って言ったのに。
もう二度と会えなくなってしまった。

今、僕の背中を押すのは、冷たい追い風。
君を追うための、冷たく強い追い風。

今まで、辛い思いをさせてごめん。
でも、安心して。

もうすぐ、そっちにいくからね。

1/7/2025, 11:12:40 AM

「君と一緒に」

「ニンゲンくん!」……なんだよこんな寝る前に。
「おや、眠たかったかい?すまないね!」

「少しだけ、聞いてくれないかな?」

「ニンゲンくん、いつもありがとうね。」
な、なんだよ急に。
「ふふっ、お礼を言ってみたかっただけさ!」

「初めて会ってからしばらくは素っ気なかったけれど、一緒にいるうちに随分優しくなったよねぇ。」
優しく……なったんだろうか。全然自覚がないけど。

「ボクも、キミと一緒にいるうちになんだか心が柔らかくなっていくような、なんだか懐かしい気持ちが芽生えてきたんだよ。」

「キミのおかげで⬜︎⬜︎もずっとご機嫌なうえ、お父さんにまで会える場所が確保できた。嬉しいことこの上ないよ。」

「だから、これからも一緒にいてほしいな。」
「……いいかな?」

……好きにしたらいいよ。
こっちこそ、色々ありがとう。
これからも、よろしく。

「えへへっ!これからもよろしくね!」
「あっ、もう眠いんだったね!おやすみ。ゆっくり寝るんだよ!」

おやすみ。

これからも一緒にいたい、なんて言われたのは初めてだ。
……ちょっと嬉しい。

こちらこそ、これからもよろしく。

1/6/2025, 4:35:24 PM

「幸せとは」「冬晴れ」(1/4、1/5)

ヷァ゙!゙!゙!゙!゙内゙容゙が゙消゙え゙でる゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙
やってしもたーーーー!!!!!!結構頑張って書いたのにーーーー!!!!!

幸せとは……なんなんだろうね……˚‧º·(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )‧º·˚

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。 

今日はよく晴れている。でもとても寒い。
「いいおてんきだね、ニンゲンしゃん!」「うん、いい天気だ。」「ちあわちぇだねー!」「……そうだね。」

「ニンゲンしゃー!」「ん?」「だっこー!」「はいはい。」「んー!ありがと!ちあわちぇだねー!」「よかったよかった。」

「お兄ちゃん」「なーに?」「幸せって、なんだろうな。」
……小さな子どもになんてこと聞いてるんだ自分は。
「んー」ほら、困らせてる……。

「ニンゲンしゃんとー、⬛︎⬛︎ちゃんとー、おとーしゃんといっちょのとき!」「あとねー。」「だっこのとき!」「あとね、あとねー!」辿々しいながらもたくさん話してくれる。

……小さなこの子は、日常のちょっとしたことに幸せを感じているんだ。小ささゆえにいろんなことを新鮮に思えるからだろうから、自分には真似できないけれど。

「ニンゲンしゃー!」「ん?」「ボクといっちょ、ちあわちぇでちょー?」自慢げな笑顔を見せる。ほっぺたを触ってみると、羽二重餅みたいに柔らかかった。「幸せだよ。」「わー!」

……本当に嬉しそうに笑うね。こっちまで嬉しくなってきた。

「おやおや!!!ふたりとも楽しそうだねえ!!!ボクとお父さんも混ぜてくれないかい?!!」「私までいいんですかー?」……デカい声と呑気な声が聞こえる。

「もちろんです。……でも、何もしてませんよ?」
「それじゃあ、せっかくの冬晴れです。散歩でもどうですか?」「いいねー!」「おしゃんぽ、おしゃんぽー!」

……こういう、なんともない時間を幸せって言うんだろうな。なんて思いながら、自分も彼らと一緒に光る冬の街へと出かけた。

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