黄金色に揺れる足元 ほんの少しずつ確かに冷たくなる空気
塵を含まず、澄みわたる空はどこまでも広くて
淡い青色のような、沈みかける太陽に反射してほんのり茜さす東
夕日に焼けて赤く照らされるそのすぐ上に、じんわりと夕闇が広がる西
つい数分前に見た東の空は、いつの間にか深い藍色のベールに包まれていた
それはわたしの脳裏に焼き付いてる、秋の狭間の時間
『脳裏』
きれいに切り分けたケーキを、ひとりでたべること
誰よりも優れた能力を、必要な場面で使わないこと
自分以外の誰かの幸せを、心から願うことができないこと
誰よりも大切な君のいない世界で、生きる意味を探すこと
『意味がないこと』
あなたは珈琲が好きで、わたしは紅茶が好き
あなたは犬が好きで、わたしは猫が好き
あなたは夜更かしさんで、わたしは夜明け前に起きる
そんなあなたは、
紅茶の美味しいお店を知っていて、
雨に濡れた子猫をほおっておけないわたしを笑って抱きしめ、
朝早くに出かける私に、「いってらっしゃい」と言ってくれる。
かくいうわたしも、
毎朝一緒に珈琲を飲み、
道行く散歩犬を目で追うあなたを愛おしく思い、
毎日かかさず、「おやすみなさい」と書き残す。
『あなたとわたし』
あのころの私は、
溢れてしまった弱い心を、打ち消してしまうほど
激しくうちつける雨がほしかった
けれど、
大切な人に降り注いで欲しいのは弱さを隠す雨じゃなくて
じんわりと浸透するように、
しおれた双葉がまた立ち上がれるように、
さんさんと、ただ
柔らかい雨を降らせたい
君を見ていたらそう思った
『柔らかい雨』
だれもが思い描く
「こんな世界になったらいいのに。」
みんなのために ミンナノタメニ
思想 衝突 譲歩 犠牲 平和 幸福 理想___
だれかはこう言った
「あぁ、こんなはずじゃなかった。」
この世界はエゴでできている
わたしの理想郷は、わたしのエゴでできている
『理想郷』