『はなればなれ』
はなればなれ
それは出会えたことの奇跡の証
ある統計によれば
人が、なんらかの接点を持つ人と出会う確率は
世界人口72億を分母として
人が一生のうちに出会えるとされる
30,000人を分子とすると
0.00004%
24万分の1の確率だそう
この奇跡があったればこそ
はなればなれという
心の引力が発生する
人が一生のうちに出会える数とされる
30,000という数字は
人生を80年と仮定して
毎日、1人ずつ、出会った場合の計算だそう
実感として、
そんなにたくさんの人とは
出会えていない気がする
そうすると、
確率はもっと下がり、奇跡の重みを増す
何度だって言おう
はなればなれは
0.00004%の奇跡の証
『意味がないこと』
『あなたとわたし』
『柔らかい雨』
またか、、、
あぁ、うんざりする
どうせ、意味ないんだよ
ため息と、ねっとりした残響が
口から溢れ、再び肺に取り込まれてく
頭は火照り始めた
ゲームみたいに、経験値が数値化されて
決められた値に達すると
進化したり、新しい技や能力を手に入れたりと
それらが保証されていたとしたら、
私はもっと
努力できたりするのかな
どうだろうか
“普通”という架空のカタログをめくっては、
羨望、渇望、嫉妬、憎悪、絶望、無気力のゴンドラを
ジェットコースターのように疾走する
カタログのページからは、自分の未来を
選び取れそうにない私は、自分自身に
欠陥品と、そっと烙印を押していた
ふと気がつくと、頬に何かがつたう
次第に、手にしていたカタログは濡れ始め
雨は、ページを滲ませて
写真はだんだん、ぼやけてく
震える手で、皺皺になったカタログを握りしめた
雨は 柔らかかった
まるで 傷ついた人に寄り添うかのごとく
しとしとと、降り続く
火照った頭を冷やしてくれた
濡れてグチャグチャになったカタログを見つめ、
このカタログの価値を考え直す
乾いたら、きっとバリバリになって
歪な形に仕上がるであろうこのカタログは
いつの日かのために取っておこう
ジェットコースターに振り回された日々と
柔らかい雨がこの身に降り注いだことを
忘れないため、思い出せるように