10/24/2022, 10:42:52 AM
『行かないで』
息も真っ白な冬の朝、
寒さで目が覚める。
隣のお布団は、もう空になっていて、
台所で、朝の身支度をする母の音が聞こえる。
母の朝は、週3で早い。
週に3回は、新聞配達をして、帰ってくると、
少し仮眠をとって、午後の家事に備えてる。
私が朝、起きて、顔を合わすのは、
配達が終わった後の母。
だけど、年に2度くらいのタイミングで、
配達前の母に会う。
今日はそんなレアな朝。
眠い目をこすり、ぼやけた頭と寝ぼけた声で
「いってらっしゃい」と、見送る私。
母は、はつらつと愛車のママチャリで出かけてゆく。
すぐ戻ってくるとわかってるから、
なんとも思わない朝の日常。
そんな生活がずっと続いて、
もう私は大人になったけれど
今も、新聞配達を週に2回はしている母。
お母さん、だいぶ歳をとったなぁ。
昔と違って、なんだか頼りなさそうな後ろ姿に
『いってらっしゃい』と、見送って、
帰って来なかったらどうしよう、なんて、
変なことも考えるようになった。
だから、口では「いってらっしゃい」と、
言いながらも
心の中では、『行かないで』って呟いてる、
そんな時もある。
『行かないで』って、子どものセリフのように
思っていたのに、
実際は、大人になった私が呟いてるのが、
なんだか可笑しくて、でも、切なかった。
今度は母と一緒に 早起きして、
今日も無事故で、帰って来ますようにって
子どものように、母親のように祈ってみようかな
10/24/2022, 10:13:57 AM
『どこまでも続く青い空』
10/22/2022, 11:02:45 AM
『声が枯れるまで』
10/21/2022, 10:31:29 AM
『始まりはいつも』