『形の無いもの』
部屋を見渡してみる。
たくさんの 生活を 彩り
便利に 豊かにしてくれる
形の有るものたちが
所狭しと並び あふれかえっている。
便利さを 豊かさを 追い求めれば
追い求めるほど 形の有るものたちは
無尽に増えていく
でも いつだって 心を芯から 満たしてくれるのは
形の無いものでした
『ジャングルジム』
右に行こうか
いや 左に行こうか
それとも 上に行こうか
はたまた 下に行こうか
どこに行くのも あなた次第
どこにだって 行けるんだ
進んだ先から ほら、新たな選択肢が続いてく
あなたの 可能性が広がっていく
人生は ジャングルジム
『声が聞こえる』
存在が消えてなくなってしまったかのように
聞こえなくなったかと思えば、
突然、大きな声で叫んだり、
はたまた、まるで、神のお告げのように
悟ったかのような 低く落ち着いた声
日々、瞬間瞬間 様変わりする
私の 心の声色
死んだ魚のような目をして
スマホを見つめながら
私の砂時計を 消費している時、
私の心の声は 沈黙している
知らない人の
神様を否定するような不幸の知らせに 触れた時、
私の心は 鬱蒼とした 夜の森になる
姿の見えない野獣の遠吠えが響いている
国境を越えた 子どもたちの 涙を目にした時、
その涙は 慈雨となり、
乾いた砂漠の大地を 潤し、
正気の声を取り戻す
さまざまな縁に触れて
色や形を変えては、立ち現れる
心の声
あなたは、今
どんな声色が
聞こえていますか
『大事にしたい』
自然の中にあふれる
見過ごしてしまいそうな 美しさ
それを 見つけられるのが 詩人なのだと
教えてもらった
気がつかないだけで 身近にあふれている
たくさんの奇跡
たとえば
桜の花が散ってしまった。
その下の石畳には
美しい桜色の絨毯が 敷き詰められ、
訪問客をもてなし、
その下の池に浮かぶ 桜のはなびらたちは
第二の人生を生きるかのように
鯉と仲良く、
美しく 咲いていた
終わりを告げ、死を仄めかすように感じられて
切なさを覚える 散る桜たち
だが、光の当て方を変えれば
散った桜の 奇跡のような 美しさに
ハッと させられる
詩心は
小さな奇跡を見つける中に
宿っている
詩心こそ この世の嵐をも
生き抜く 蘇生術にも思えた
この心を 私は 生涯、
大事にしたい そして、育てていきたい と思った
『時間よ止まれ』
流れるように
止まることなく
止め処なく
時は流れていく
まるで 川に流れる水のようだ
そんな自然の摂理さえも
どうしても 止めたくなるのは
どんなときだろうか
どんな思いが凝縮されたときだろか
幸せの絶頂に辿り着いたとき?
永遠のような後悔を背負う瞬間の手前?
何気ない幸せを見つけたとき?
静かな怒りを携えて 復讐に臨む時?
誰かの命の炎が 消え入ろうとするとき?
その瞬間に
時を止められたらと 願うのは、
それだけに きっと 強く
しあわせだと感じられる未来を
求めているから なのではないか
川の流れと
時の流れは
絶え間ないところが
とても よく似ている
今も心に残っている
“川の流れが
止まってしまうと 水は澱んでいく
止まることなく ずっと
流れ続けているから 川の水は澄んでいるんだよ
人間の心も一緒だよ” と。
すべてが停滞していた 死んだ魚のような 私の心に
ドカンと響く言葉でした。
何があっても 流れ続ける
毎日 毎日 止まることなく
たとえ 1ミクロンであったとしても 前へ 前へ
それが しあわせへと続く 一本道
そう思った
“時間よ止まれ”
祈りにも似た その思いは
しあわせになりたい との叫びに似てる
あなたが しあわせになれるように
あなたの心が 澄み渡るように
止まらない 時の流れは
あなたの心に 優しく 寄り添う