【未来の記憶】
ある日、神様に出会った。
それは屋上で風に吹かれていた日のこと。
ひとりだったから証人はいない。
でもそれは、確かに神様だった。
神様は僕に言った。
「未来を見せてあげよう」
神様が言うには未来の記憶を見るには条件があるらしい。
『見えた未来を変えてはいけない。』
「変えたらどうなるの?」僕は聞いた。
「未来は無くなる」神様は答えた。
「ちなみに僕は未来を見るの?」僕は聞いた。
「見る」神様は答えた。
「そっか」そう言って僕は未来の記憶を見た。
…
…
…
僕の記憶はそこで途絶えた。
昨日キライが明日スキ
今日のスキが明日キライ
コ ロ コ ロ コ コ ロ コ ロ ガ ッ テ
明日のアタシは誰もシラナイ
“ココロ”
【星に願って】
「父さんにまかせろ」
そう言われて任せた案内で、道なき道をひた歩く
「父さんにまかせろ」
そう言われて開いた地図は、近づけ過ぎたライターの火でよく燃えた
「父さんにまかせろ」
そう言われて食料調達を頼んでいたのに、カードゲームを買ってきていたようで食べるものは何もない
あの星に願っておこう…
無事に帰れますように…
もうお腹いっぱいになったかな?
ートントントン
今日もいっぱい飲めたね
ートントントン
よし、上手に出せた
腕の中 君の背中に手を添える
(きっとあっという間に大きくなるんだろうな)
ゴホッゴホッ
苦しいか?
ートントン
水飲むか?
ートントン
あなたの背中に手を添える
(いつの間にこんなに小さくなったんだろう)
君の背中
キッチンでひとり ポットのお湯が湧くのを待つ私
ソファでひとり できあがるコーヒーを待つあなた
あなたから地球を丁度一回り
私はその先にいる
隣に並んで
お湯が湧くまでの時間
おしゃべりしていたあの頃は遠く…
今は
誰よりも
遠く…