「あなたは誰」

生きているということすら
不確かで掴めず
心の隙間を彷徨っている

目の前にある存在さえ
微かに残る触れた感触さえ
真実なのか確かめる術もない

僕が見ている夢なのか
夢が僕を見ているのか

鏡の中
映る僕を見つめる

その僕に
そっと問いかける

「あなたは誰？」

「手紙の行方」

いつかの歌に
出した手紙が
ポストに舞い戻った
そんな歌が流行ってたけど
出した手紙は
戻らないし
出した時点で
もう僕のものじゃない

僕の手を離れ
届けたいと思う人の
手にも目にも
触れているのかさえ
僕にはもう
不確かだ

話すことも
聞くことも
できない勇気の結末
そんな手紙の行き先に
一喜一憂する
僕の気持ちは
どこにも向かう場所がない

歪な勇気
窪んだ愛
そして
曖昧な手紙の行方

「輝き」


君の面影を探す
目を閉じてみる
そこには何も映らない

目を閉じた瞼の裏
君の姿も
影さえ映さない

たまらず目を開ける
光は全て
世界を白に塗りつぶす

ぼやけた視界
その先に君はいない
目を凝らす
いるはずもない

僕の心の中
想い出の波と共に
君が
輝きの中
揺れている

「そっと伝えたい」

言葉にしなくても
伝わればいいのに
見つめているだけで
伝わればいいのに

君への想いが
風に乗って
君へ伝染して
僕を好きになる
そんな病気に
なればいいのに

病気になった君の想いが
体中を駆け巡って
僕だけを映し続けて
僕が必要だって
君がそれに
気づけばいいのに

そんな僕の想い

そっとそっと

そっと
君に伝えたい

「未来の記憶」

未来の記憶などない

記憶の中に
未来はなく
未来の僕は
今の僕を見つめている

未来の記憶は
過去の僕を照らし出し
幸せや辛さを
想い出に変えていく

全ては僕の
魂の一部となる

未来の記憶など
存在しない