「手ぶくろ」
冬だけに現れる
外出する時にしか出番がないもの
子供の頃は
5本指に分かれていない
なくさないよう毛糸の糸で繋がれている
可愛い手ぶくろ
学生の頃は
定期がすぐ出せるように
5本指の先が切られた
でも寒くないようカバーが付いている
ちょっと便利な手ぶくろ
でも
大人になると
その可愛さもその便利さも
取り残された思い出として
その存在さえ
途端に忘れ去られてしまっている
いつかどこかの冬の片隅
手ぶくろは
思い出と共に
懐かしく思い出される日を
待ち焦がれていることだろう
「変わらないものはない」
世の中は移り変わる
常に変化を繰り返し
日々絶えず変わり続ける
でもただ一つ
変えられないものがある
それは
私たちがこの世に生まれ落ちた瞬間から
必ず最後に辿り着く終わり
どんなにもがいても
どんなに抗っても
必ず全ての人に平等に訪れるもの
変えることは決して出来ないけれど
そこへ向かって進んでいく道は
何本も何本も枝分かれして
足元に広がっている
変わらないものはない
変えられない終わりがあっても
選ぶことは出来るのだから
「クリスマスの過ごし方」
街路樹はキラキラと煌めき
レストランの入り口には
幸せそうに笑い合う恋人たちの列
人並みをかき分け
家路を急ぐサラリーマンの姿
ごちそうを前に子供たちが
今か今かとその帰りを待っているのだろう
今年も
クリスマスはやって来た
過ごす相手も
過ごす時間も
ずっと永遠に
今日と同じがいい
来年も
世界中の全ての人たちに
素敵なクリスマスが
必ずやって来ますように
「イブの夜」
お決まりのチキン
お決まりのケーキ
お決まりのクリスマスツリー
1番ほしいものはなーに?
そう聞かれた子供の頃
ワクワクして待ち続けた
白髭に赤い帽子に赤い服を着たおじいさんは
煙突のない私の家にも
毎年やって来てくれた
もし今、1番欲しいものは何と聞かれたら
なんて答える?
ワクワクしてプレゼントを待ち続けた
あの子どもの頃の気持ちに
戻りたいだけなのかもしれない
「プレゼント」
包装紙を開けるまで
箱の蓋を開けるまで
中に入っているものが
どんなものなのか
中に入っているものが
どんなに心をときめかせるものなのか
開けるまでのワクワクは
開けた後の喜びより
生きていることを
生きている実感を
沸々と呼び覚ます
生きている
今日が最高のプレゼント