◎空に向かって
#60
空に向かって人差し指をたてる。
自分が何よりも一番に相応しいと
主張する。
君は見上げるか、頂きを。
君は超えられるか、世界を。
これより上へと登っていけるか。
迷え、進め。
誰も見たことのない景色を目指せ。
その他があるからこそ一番は輝く。
だが、輝きは一つではない。
現状を打破し更に増した輝きで
人々を魅せよ。
それこそが空を目指す我々人類の
進化である。
◎はじめまして
#59
Hello、こんにちは、こんばんは、
はじめまして!
僕めはレイン。
アナタ様の道化であり、師匠であり、
玩具。
いつかアナタ様を殺す愚者なれば?
さぁ、僕めを見つめて?
見逃がしてはいけないのです。
よくよく御覧じませ?
このちっぽけな牙が鉤爪が
怨敵を、天を、切り裂く様を!
雨!雨!
甘露なりや!
煌めく星までもが降り注ぐ!
さあ?さあ!カルナバルの始まり?
Shall we dance!
脊髄反射で踊りましょう!
アナタ様の千鳥足を支えます故に。
油断しないで、目を離さないで?
この手はアナタ様の首にも
絡みつきましょうとも!
さよなら-Say Goodbye-は
まだまだ遠くにありましょうがね。
虎-オオキナネコチャン-も見つめて狙ってる!
何故?Why?
だって美しいものね
アナタ様の得難き極上の魂!
あくまでdevilな僕めにはお宝ですとも。
逃がしはしません、My Sweet!
◎涙
#58
幼い頃は些細なことで泣いたものだ。
今となっては人前で泣くことは無い。
涙は血をろ過したものらしい。
脈は正常。
私は生きている。
ならば何故泣けないのか。
自分の冷静さが時々恐ろしかった。
周囲に馴染めていない気がして
不安になった。
故に、私は全身を改造し、
浪漫の塊となった。
右手には大砲!
左腕には火炎放射器!
内部には冷却機関!
目にはサーモグラフィや照準機能etc!
ふーーむ、浪漫。
涙など流れはしない。
これが私の求めた姿であるッ!!
◎春爛漫
#57
春爛漫の山々に、
一帯の主たる鷹の高く鳴く声が木霊した。
穴ぐらから頭を覗かせた兎は勢いよく駆けだし、揺られた若草は山肌から湧き出る龍の気を受けて喜びに震える。
熊の親子はふかふかの土を掘り返してタケノコに齧り付き、蝶はその鼻先を舞った。
暖かな日差しを浴びて木々は伸び、
命が地表に溢れかえる。
さぁ、生きよう。
◎bye bye...
#56
『ばいばい、また明日』
いつも言えない言葉。
壁越しに、窓越しに、
貴方がよそ見した瞬間に言ってる。
誰にも気付かれていない私の習慣。
誰にも伝わらない気持ち。
誰も気付かないで。
誰にも伝わらないで。
私の願いは
校舎だけが聞いている。