案山子のあぶく

Open App
7/16/2024, 10:51:12 AM

◎空を見上げて心に浮かんだこと
#2

「空を見上げて心に浮かんだことぉ?」
「うん。アサヒは何を思うのかなって」

もうすぐ夜になりそうな頃に聞くなよと思いながら、アサヒは考える。
雲が浮かんでるなら何かに見立てるところだが、今は一面の夕焼け色しか目に映らない。

「何つってもなぁ……藍色と茜色は正反対なイメージだけど、よく似合う……とか?」

自分でも何を言ってるのかわからないのに、隣を歩くユウは納得したようで何度も頷いていた。

「ユウは?なんて答えるんだよ」
「私は朝焼けを思い浮かべるよ。夜を越えて次に空が二色に染まるのは朝焼けの時だから」

楽しそうに笑うユウには夕焼けの色がよく似合っていた。

7/16/2024, 8:41:55 AM

◎終わりにしよう
#1

「終わりにしよう」
そう言ってケイゴは両の手を前に突き出した。
「あぁ……俺も、そう思ってた」
正面に構えたコウタも指先に意識を集中する。
2人の間に冷たい風が吹き抜けた。
「行くぞ!」
「来い!コウタァッ!!」
「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」
コウタの指先が風を切り、ケイゴの鼻先を掠める。
「…………」
沈黙の後、コウタが膝をつく。そしてケイゴは天へ拳を突き上げ、勢いよく振り下ろした。
「コウタ……お前、なんでまた……っ!」
「俺だって、やりたくてこんな状況にしてるんじゃない……!」
「何度目だよ……これじゃあ、終わらねぇじゃんか!」

「「ババ抜き!!!」」

ループにはまった2人を見てアイスキャンディーを咥えたユウキは腹を抱えた。
「お前ら仲いいなぁ(笑)」
「「その(笑)ってのやめろ!」」
「ファーーーッw死ぬ、笑い死ぬwww」

それは暑い夏の日の、
クーラーの効いた部屋での一幕。