『君と飛び立つ』
書き物をしてるのに
うろ覚えで申し訳ないけれど
君と飛び立つ と聞いて
あることをちょっと思い出した
それはテレビ番組、鳥の特集だった
端的に言えば
人が雛から育てて
それを自然にかえせるのか
と言うものだった
卵から育てる故
それが孵えった時
人を見れば親だと認識
そこからあの手この手で
ひなたちを育てあげる
だけど私が1番心配かつ驚いたのは
「人が鳥に飛び方を教える」という点
羽に見立て
手やうちわなんかを使い
動かし方を身につけてもらい
練習や訓練を重ね
そして成長した時には…
人が 小型の飛行機に乗り
ひな鳥たちと一緒になり
……―――飛び立った
みんなと飛び立ち
そして自然に帰っていった
…今日もどこかで
今ある当たり前の自然を
自然を守る人達が
懸命に守ってる事を、忘れてた
〜シロツメ ナナシ〜
241
『きっと忘れない』
夢を見た
これは夢だと自覚があった
それはとても鮮明な光景で
どれもこれも一瞬だった
亡くなったおばぁちゃん
会いに来てくれた
だいきらいなアイツを
この手で八つ裂きにしてやった
急に空を飛べたんだけど
急に飛べなくなって墜落した
死んじゃった犬に
また会うことが出来た
建物が燃えていて
私は出られなくて死んでしまった
二度と会いたくないアイツが
ただ苦しんでる光景をみた
憧れだったあの人と ここでは言えない
あんなことやこんなこと
こんなインパクトだらけの夢
忘れるはずがない―――!
―――目が覚めた
……私………
なんか、……夢見てたような………
〜シロツメ ナナシ〜
243
『なぜ泣くの?と聞かれたから』
私は全てを持っている
富も名声も権力も知識も
何もかもを持っていた
……それなのに、
なぜ泣いている?
私の息子…
なぜ……あなたは泣いてるの?
あなたの悩みも問題も
なんでも解決してきた
知らないことなんて何も無い
解けない悩みは何も無い
…そのはずなのに
あなたはどうして泣いてるの?
「……今のあなたに
俺の悩みは解決できない
あなたは俺の悩みを解決する
あなたは望めば与えてくれる
あなたが例えもし
この世の全てを知っていても
だって……あなたは……
数少ない避けてるもの
極々一部の逃げてるもの
知ろうとしなかったもの
聞こうとしなかったものがある
それは……
―――俺の心の声と傷
確かにあなたは…何も間違ってない
今日まで…何も間違ってない
けど……俺の欲しいものじゃない
それらが俺ののぞむことじゃない
あんたは擬似的に俺を利用してる
自分のやってる事を
「肯定する材料」のひとつとして
俺を利用してることに気づけてない
…そりゃ気づかないよね
だって……「間違えてない」んだから
その助言も、問題解決も、
与えてることや知識もなにもかも
だから、聞く必要がなかったと
…思いたいんだよね
例えあんたにその気がなくても
そうじゃないのだとしても…
現に……聞きたくないでしょ?
俺のこの心の声だけは…
聞こうと思ってないから…
聞きたくないから……
こんなに一緒にいるのに…
逃げてるでしょ?…俺から
ほら…答えたよ
泣いてる理由―――
だから俺は…ずっと泣いてるの
…答え(応え)……あるんでしょ?」
私は―――
山のように答えを持ってるのに
―――何も応えられなかった
〜シロツメ ナナシ〜
242
『足音』
やつはそっと忍び寄る
木の床だろうど
砂場だろうと
砂利道だろうと
やつは足の使い方を
熟知している
音が聞こえない
―――だけじゃない
気の消し方もわかってる
やつはこちらをわかってるのか
はたまた
やつはやつ自身のことが
分かってるからこそ
気配を感じ、察知し、
こちらと同調させるからこそ
こちらが気がつけないのか…
…気をつけろ
やつは気づいたら………
そこにいるのだ―――
🐈⬛⸒⸒⸒⸒🐾ンニャ〜
〜シロツメ ナナシ〜
241
『終わらない夏』
― 今を切り取りたかった ―
この幸せの時間を
私の最高のこのひと時を
始まりから終わりを切り取って
ひとつの作品にしたかった
永遠に続けたい
この幸せの時間を
あなたとわたしだけの
終わらない夏を
― 本当にそれでいいだろうか? ―
万が一
切り取ることが出来て
その幸せな時間を
永遠に繰り返せたとして
それは本当に幸せだろうか?
…いや、きっと幸せに違いない
だって、その経験したことも
この初めての感覚も
なんどでも感じることが出来るから
飽きなんで来ようものか
― だけど本当に「幸せ」だろうか? ―
その「同じ永遠」と言うのが
幸せなのだろうか?
…幸せ、幸せだと思う…
思うのに……
謎の不安がおしよせる
無くすのが怖くて怖くて怖いけど
変わらないのは…もっと怖い…
私は…間違っているの……?
― 変わる永遠はどうだろう? ―
同じ海や山に、
違う海や山でもいい
同じ水着でも、
新しい水着でもいい
同じ祭りでも
知らないお祭りにでもいい
また二人で来てもいいし
新しい人と一緒に来てもいい
同じ夏かもしれないけど
違う夏が来てくれるから
それを繰り返していけば
変わらない夏だけど
変わっていく幸せの光景
それはきっと
幸せな終わらない夏になる
ずっと続けて、行きたいな―――
〜シロツメ ナナシ〜
240