シロツメ ナナシ

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3/13/2025, 5:41:01 AM

『終わり、また初まる、』


では、改めてようこそ
〜星の図書館〜 館内の一室
通称ープラネタリウムー

ここではあなたの中の
繋がってしまったままの物語
つまりは、今のあなたが
抱えつながっている過去の記憶と
少しでも向き合おうということで
来てもらった訳ですが

不安ですか?
ええ、それは仕方ありません
ここで起こることは言わば
夢のようなものですし、
必ずしも解決するわけじゃありませんし
あなた自身も、
過去の思い出したくない
自分に起こった記憶も
見たくなかったシーンも
とてもとても、思い出すだけでも
ひどく辛くなることのはずです
ですがあなたは
今とても 勇気を持ってここに来た
大切な1歩を踏み始めました
そして…ここでの出来事が
ひとつ あなたの助けには
なると思い、願ってます

ここでやる事は
あなたの記憶を物語として
形作るために、
記憶を星にして空に飛ばします
その星にした記憶を
私のチカラで、本に変えるんです
そうすることで、少しですが、
あなた自身があなたの過去と
向き合いやすくなるはずです

ではまずは……
この小さなクッションを握ってください
それはあなたに差し上げます
そして、少しだけ念じてください
……っふふ、驚いてますね
えぇ、あなたがイメージしてる
身近にある少しでも安心できるものに
変化してくれるんです
他の人は、そのひとたち自分が
安心出来るものになってましたよ
枕以外に、毛布や布団
バスタオルや抱き枕と

今回は、あなたの枕 のようですね
えぇ、それをそのまま
抱きしめててくださいね
それはいうなら 安心材料、
万一の時にここに戻ってくる為の手綱、
水に浮かぶための浮き輪の役割を
果たしてくれます

ではまず、
1度ゆっくり深呼吸をして……

……はい、その呼吸のリズムのまま
ゆっくり……あなたの好きなリズムで
呼吸を繰り返してください

では次に
星を五つ、イメージを
赤い星には怒りを
青い星には悲しみを
灰色の星は辛い事を
緑の星には安心を
黄色い星は最高の幸せを

…それを形作ったら
あなたの好きなように
空に投げてください
その星を、今から私が
本にしてみましょう
ええ、あなたの物語を
手に取れる形になったということです

では……今
抱きしめてるものを離さないよう…

ゆっくり、
赤い星を覗き開いてください
はい、あなたがあなたを見ています
本に吸い込まれないように
その枕をしっかり握ったまま…
その怒りは、あなたの…相手の…
その怒りは感じていいんです
ギュッと枕を締め付けるようにしていい
思い切り泣いてしまってもいい

感じ終わったら……そっと本を閉じて
空に返してください


はい、これをひとつずつ
青い星や灰色の星でもやってみましょう
……いえ、特になかったのなら
あるいはどうしても今は
思い出したくないのでしたら
無理して開かなくていいんです
ここに、この空に
本に変えることが出来ただけでも
あなたはとても大きく
前進が 出来たんですよ?
あなたは 成長が 出来たんです

では、緑の星は開けますか?
あなたの癒しの時間を
どんな小さなことでも
ご飯、寝る、お風呂と、なんでも
あなたが心地よくなる時間を
本を通して感じてください
美味しかった味や
気持ちよかった瞬間を…

では、このまま
黄色い星の本も開けましょうか
思い出せる思い出、
とても最高だった瞬間
あるいはほんの少しの幸せ
どんな瞬間も全てあなた

……ええ、
ここに、繋ぎなおしましょう
この黄色い星の本と
緑の星の本に、今のあなたを
ゆっくり繋ぎますね

ほかのホントのつながりは
完全に切り離すことはできませんが
限り無く少なくすることは出来ます
赤や青の本との繋がりは
ほんのひとかけらだけ
ほんの一本分だけの繋がりに変えて…
えぇ、これも実は大切なあなた
完全に無くすことは
今のあなたの否定になります
なので、ほんの少しだけ
こことも繋いで……

黄色や緑の星の本と
大きく繋がりを持って……
これまでの…あなたが……

一旦 終わり、また初まる、
……そう、
新しいあなたが 始まるんです


……ではゆっくり、
本を閉じて…空に返しましょう
あなたの良いタイミングで良いですよ
黄色い星の本と緑の星の本を
ゆっくり返して
星の本は…
私が1度預かりますね

少し空を散歩するように……
ゆっくり戻ってきてください
のんびりと…枕の感触を……
思い出すように……
黄色と緑の星の本を…感じたまま
そっと……、戻ってきてください
戻ってきたと思ったら、
目を……開いてくださいね…。


…はい、おかえりなさい

いかがでした?
あーいえいえ、良いんですよ
思い切り怒ったり泣いたり
むしろそうして欲しかったので
どうですかね?
少しは整理ができましたか?

あぁそうそう、ここに
ほら、あなたから生まれた
星の本、ありますよ?
持っていっても構いませんし
ここに置いていっても大丈夫
……っふふ、大丈夫ですよ?
管理は任せてください
他の人にも見せませんので
私も特別な理由がない限り
覗いたりもしませんので
ご安心を

……ん、どうやら 一時的にでも
曇りは晴れてくれたようで
私も嬉しいです

……えぇ、このために来る人も
少なくないのでご安心を
また来たい時に来てください
あなたに合った使い方
そして、あなたが思う
あなたらしさがひとつでも多く
見つかりますように
あなたが今よりより良く
そんな手伝いが出来たらと思ってます

本の整理でも、
読みたい本を探すでも

はい、私は大歓迎ですので
またいつでも、来て下さいね


〜シロツメ ナナシ〜

3/12/2025, 1:21:02 AM

『星』


おや、いらっしゃい
どうでしたか?ワープできる栞は
えぇ、成功してますよ。
ここは ―星の図書館― ですよ

先日ぶりですね
来てくれて嬉しいです

…はて……、あなた……
気のせいでしょうか…?
少しですが顔色が良くないですね?

……なるほど………
あなたは……過去の…
「あなたの物語」に縛られてるんですよ
えぇ。あなたの記憶や思い出も
私からすればそれは物語
本や紙に書くとして、
それが1ページでも、1行でも、
たった一単語で済んだとしても
それはあなたにとって
とても大切な物語。
そしてその物語は同時に
その人を幸福に導くものにもなり
その人を支える大切なものになり
その人を…一生くるしめる場合も…
そう、大切ならいいんですが
「間違って大切にしてしまう事」
というのもあるんですよ

その辛い物語から離すことは
大変難しいのですが、
私は少しだけ、緩めるお手伝いなら
多少はできるんです。
そうですね…、
どれくらいチカラになれるかは
分かりませんが……あなたのでしたら
縛りを弛める事ならできるかも知れません
それでも良ければ
私がお手伝い致しましょう
では、こちらに来てください


この部屋です
ここでの主な目的は
あなたの、利用者の過去の記憶を
簡単に物語にして、
空や天井に映し出すための部屋
映し出してみるのですから、
私たちは通称 ―プラネタリウム― と
そう呼んでいます

……あぁ、大丈夫ですよ?
映し出した時にはまだ星です
そしてそれを先ず見れるのは
あなただけですので
あなたの許可なしに
他の人が見ることはありませんので
どうかご心配なく

では、始めてみますか?

―――分かりました
では、
あなたの助けになりますように
私もお手伝い致しますね


〜シロツメ ナナシ〜

3/10/2025, 2:13:09 PM

『願いが1つ叶うならば』


はっはっは〜
私はどんな願いも叶える
スペシャルな魔法のランプの精霊〜

「割と雑で要素モリモリやな」

良いじゃん!スペシャル!

「んで、願い叶えてくれるって?」

まあ無理なんだけどね?

「ですよね〜知ってた、
 んでなに藪から棒に、願い?」

ん〜、いやね?
もしもたったひとつだけ
どんな無理難題でも願いがひとつ叶うなら
私は何を願うかなぁって思って

「それでスペシャル?」

そうスペシャル!!
だってスペシャルじゃないと、
普通の魔法のランプとか
願いを叶えるボールだと
少し制限があるでしょ?だから!

「ぁーあったなぁ…、
 人殺しはできないとか
 神を超える力は叶えられないとか」

というわけで、何かある?
とりあえずなんでも言ってみてよ!

「んじゃ…鉄板のだと…
 不老不死とか?」

あーわかるけど、私は反対派なんだよね…

「なんでさ?」

だって…若いって魅力的だけど
死ねないって……なんかね?
それはそれでなんか怖い……
みんなが先にいなくなって
ひとりぼっちになりそうだし、
もしも心を病んだら、
ずっとそのまま苦しいままなのかなぁって

「ぁーそう言われるとたしかに…
 んなら、不老ならいいんじゃね?」

あーそれはありかも…!
んじゃ他には?

「そうだなぁ…
 他には…誰でも空飛べるとか?」

お!いいね!どこでも自由自在!
お外の窓拭きもできる!
あーでも……今はちょっと怖いかも?

「?空飛ぶのが?
 まぁ確かに高いとこ怖い人からすると
 飛んでて落ちないか不安になるか…?」

それもだけど…
なんか、色んな悪用する人多そう…
覗いたりとか…

「すまんこっち見んな…」

あと、飛んで電線に引っかかったりとか
戦いに悪用しそうな人も出そうで…

「…そう言われるとちょっと心配だな…
 高さ制限でも設けるか?」

それだともはや
飛ぶ必要がなくなりそうだね……

「……だな。
 ん〜〜〜!あとは…
 それこそ蘇生を考えたけど…
 それは若い人限定にしたいよなぁ…」

ね〜?寿命迎えた人は
ちょっと可哀想だもんね…?

「……個人的には、
 戦争が無くなるとか
 今この世に存在する
 全ての病気を消してしまいたい…
 ぐらいは叶えたいかなぁ…」

あーたしかに、
それなら良いかもね?
どれも見てて悲しいもんね…

「……病気は…お前もだろ?」

……え?
あー…うん。

「……早く良くなれよ?」

……ん!がん!ばり!ます!


「(……だから、どんな願いも…か…
  ほんとに……強いやつだよ…お前…)」


〜シロツメ ナナシ〜

3/9/2025, 1:59:05 PM

『嗚呼』


皆さんは――
いえ あなたは―――
心が揺れ動いた瞬間
覚えていますか?
いわゆる エモい ってやつですかね
それはなんでも構いません
幸せから 苦しい事まで
とにかく感情を自分で
抑えることが出来なくなるほど
心や気持ちが揺れ動いた瞬間です


好きな人やモノに出会った時

綺麗な景色を見つけた時

大切な人達との別れの時

傷つけられてしまった瞬間

悲しみを止められなくなった時

心の本音や気持ちに気づいた瞬間


この世の大きなものごとから
あなただけが感じ取るモノまで
その全ての中からひとつずつ

たくさん感じる人もいるでしょう
ほんのすこしの人もいるでしょう
そのどちらにも良さがあり
そのどちらとも素晴らしい

あとはあなたがどちらが得意か
たったそれだけの事です

もし良かったら
その中からひとつだけ
聞かせて貰えたら 幸いです


〜シロツメ ナナシ〜

3/8/2025, 11:15:01 AM

『秘密の場所』


そこは
だれもこない

ジャマはだれもこない

こっそり 行って

ちょっと 飛んで

もひとつ 飛んで

身を ひそめれば

けづくろいのし放題


忘れた頃に探しに来る

主の視線は オレのもの

撫でて来る手も オレのもの

目の前すぐに 手が届く

時々噛んで 恩返し

声を出して喜ぶから


寒くないし ジャマもない

それでも気配も感じれるから

寂しくないし ひとり時間

ここがオレの 秘密の場所


〜シロツメ ナナシ〜

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