『星に願って』
私が私を見るために
星に願って見てもらう
宙(そら)から私を見るために
星に願って見下ろすの
星はいつも 見ているの
昼夜問わず そこにいる
例え家の中であれ
窓からそっと 覗いてる
願いを願っているけれど
願いは同時に 小さな誓い
夢や希望じゃ 重いから
綺羅星ぐらいの 重さにするの
重たすぎず 軽すぎず
これが私に ちょうどいい
これがどれだけあるかって?
それはもちろん決まってる
星の数だけ あるんだよ!
〜シロツメ ナナシ〜
54
『君の背中』
君の背中を この手に抱く
初めまして よろしくね
君の背中を さすってトントン
初めてゲップ おやすみね
君の背中が 迫ってくる
どうやら寝相が 悪いらしい
君の背中を 押していく
初めての世界へ 送り出す
君の背中が 走ってく
楽しみの世界 見送って
君の背中が 大きくなる
触れること減り ちょい複雑
君の背中に 触れなくなる
それだけ立派に 成長した
君の背中が 離れてく
寂しく嬉しい ひとり立ち
君の背中を 覗いたら
新たな命を 背負ってた
君の背中が 立派に見えた
それでも私の 小さな背中
君の背中に 久しく触れる
ありがとうね また会おう――――
〜シロツメ ナナシ〜
53
『遠く……』
私は見つけてしまったの
心の的に刺さったの
彼女は私の憧れで
私は足を動かした
夢と希望に向かって
だけどそこが遠かった―――
彼女を知れば知るほどに
遠いモノだと知らされた
画面越しの彼女では
とても弱く緩く見え
だけど本当は強かった
私と彼女の立ち位置は
ゴールに近いスタート点
誰より近くにいるはずなのに
誰より遠くにいることに
時間をかけて、知らされる
彼女の底知れぬ力の数々
それでも彼女はその場所の
弱いと言われる人だった
私は更なる恐怖を覚え
初めて心が折れる音―――
私は悩みに悩んでた
一生かけても追いつけない?
私は悩みに悩んでた
好きではないと無理なのか?
私は悩みに悩んでた
私は初めて 自分と向き合う
泣いた、怒った、苦しんだ、
痛くて、辛くて、絶望した――
私は―――――――――
「進む(戻る)」と決めた
誰が見ても逆走だろう
だけどこれが、私のスタート
きっとガンガン抜かれてく
きっと指さし笑われる
きっと常に最後尾
きっとおかしなことなのだ
だけどこれが、私のみち
遠回りこそ、私の最短
行こう
どんなに遠く……遠くでも――
なぜって?
私の行きたい道だから!
〜シロツメ ナナシ〜
52
『誰も知らない秘密』
俺たちの関係は
私たちの関係は
誰も知らない秘密―――
距離をとって
何食わぬ顔をして
気にしてない素振り
口を開けば口喧嘩
でも、本当は―――
――――――――――――――
〇「…ねぇ」
□「…なに?」
〇「あの二人…さぁ?」
□「あぁ…お前もそう思う?」
〇「…だよね?あんたでも分かるよね?」
□「まぁ…だろうなぁ…とは思っちゃう」
〇「あの二人…」
□「恐らく…」
〇・□「「付き合ってる…」」
――――――――――――――
でも、本当は――――
「「自分たちが付き合ってるのは
誰も知らない、秘密の関係…!」」
なお、このふたりが
「隠し通せてない」事実を知るのは
後に このクラスの
同窓会が開かれ
さらに超絶赤っ恥になるのだが…
それはまた、別のお話―――――
〜シロツメ ナナシ〜
51
『静かな夜明け』
暗闇の中 ただ歩く
そこで聞こえる音がある
己の鼓動か足音か
息づかいか耳鳴りか
私は私のわだかまり
あなたはあなたのわだかまり
その人だけの傷を持つ
他人(ひと)には軽く見えるけど
この世で最も「おもい」モノ
迷う場所もみんな違う
それは田舎の細道か
電気の消えた都会の真ん中
誰もいない店の中
静まり返った病棟か
大きな桜の木の下か
あなただけの 迷いの森
静寂の中 朝が来る
あらたな アナタが 目を覚ます―――
〜シロツメ ナナシ〜
50