見てて

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7/7/2023, 5:46:55 AM

辺りは暗くなり、満員電車を抜けて腐れ縁と呼ぶに相応しいアイツと久しぶりに飲みに来た。
大人になって、酒を交わして思うのはコイツになら何でも話せるんだと実感する。
酔いが回った頭はどうも働かなくて、ふと口走った。
「お前って俺の事どう思ってる?」
それは所謂、告白の様な物できっと普段なら焦って言い訳を並べるだろうが今日はそんな気が起きなかった。
机に伏せてこちらを見ずに話し出す。
「嫌いだ、憎らしい」
そう言って寝てしまった彼を尻目に笑みが止まらない。
俺たちが友人と呼べるのはとうの昔で、今ではライバルが良い所。けれどお互い同じ気持ちだから、たまにこうして安心感を求めに来てしまう。
今日も友人だった頃のアイツを思い出しながら、酒を一口煽るのだった。

7/5/2023, 11:08:16 AM

「良い加減にして」
普段なら感情豊かな彼女が酷く冷静にため息を吐いた。先程まで仲良くお茶をしていたのに、まるで親の仇の様に睨まれる。
床に散らばる角砂糖が、深い紺色の絨毯に転がる様は嫌に綺麗で目が離せない。
それは、あの日見た星空よりも鮮明に残った。

7/5/2023, 9:53:44 AM

神なんていないと言っていたあの子は優柔不断だ。
今だってお昼に食べるメニューを悩んでオムライスとハンバーグを交互に指差している。

「天の神様の言うとおり」

結局、あの子の信仰心は神のみぞ知るのだろう。

7/3/2023, 11:18:54 AM

何処につながるのか分かっていたら、きっとこんな風に不安にはなっていないだろう。
滲む汗を握りしめた拳には痛ましい赤い跡が残っていた。