黒山 治郎

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8/20/2024, 3:40:48 AM

真に淀むは己の心か
零れ出しそうな重い鈍色の空の下
いつだって傘を忘れて出掛けていた。

雨にいくら打たれようと
誰も傘を差し伸べたりはしない
雨水を纏って帰ろうとも
タオルが出迎えるなんてことも無い
それでも構わなかった。

構うもんかと、一人気丈にかぶりを振って
雨にだけ真っ直ぐに微笑んだ。

ー 空模様 ー

8/19/2024, 3:38:56 AM

問い掛けには答えない
自問自答にしかなり得ない
誰と問えば見慣れることも無い
自分なんていつも曖昧だと思った。

ー 鏡 ー

8/18/2024, 7:57:37 AM

曾祖父が遺したホルベインの水彩絵の具
蓋を開ける度にぼやけた絵の具の匂いがして
暖色系の殆どは使われてしまっている。

本当は絵が欲しかった
端金で売り切ったと聞いた時には
叔父さんと叔母さんも一緒になって
祖父に憤慨したものだが
いつかは、自分で買い戻したいと思う。

ー いつまでも捨てられないもの ー

8/17/2024, 7:00:52 AM

胸を明るく灯すならば良いのだが
人間は一度欲すると際限が無い

自己顕示欲にのまれ誇張し
他者の目に晒し過ぎれば
誇らしさは見る影も無く、くすんでゆく
例えばこれが亡者の栄光であれば
骨董品としての価値は上がるだろうに
承認欲求とは酷く皮肉なものだ。

ー 誇らしさ ー

8/16/2024, 9:00:41 AM

月の無い夜
思慮に沈みて
底を無くす。

己の深海は何処までも暗く。
思い、重い、黒への怯えが
行き着く場所を求めては
酸素を忘れ落ちていく。

───こぽん。

いまは、どのあたり だろうか…。

ー 夜の海 ー

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