狼星

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7/3/2023, 12:34:26 PM

テーマ:この道の先に #232

この道の先に何があるのか。
誰にもわからないだろう。
ここは現世と幽世の境目らしい。
ここで神隠しにあうものもいるらしい。
なぜそんなところにいるのか、
俺もよくわからない。
ただ
なにかに導かれるように…。
なにかに連れて行かれるように。
ボーっとしたまま中にはいっていく。
この道の先に一体何があるのか。
俺は一体帰れるのか。
なんの保証もない。

7/2/2023, 1:57:20 PM

テーマ:日差し #231

夏の暑い日差しがプールに反射している。
私は水泳の授業が一番嫌いだ。
なぜなら私は泳げないから。
泳げたらこんなに暑い中のプールなんて
天国なんだろうなと思う。
でも私はカナヅチだ。
「あ〜、憂鬱」
私がそう呟くと
「わかるわぁ〜」
そう隣で言ったのは友達の瑠海だった。
「いやいや、瑠海は泳げるじゃん」
「泳げる泳げないの話じゃないよ。
 見てよ、あそこの男子。
 めっちゃうちらのこと見てるよ?」
瑠海は嫌そうな顔をして視線をまっすぐ前に向けた。
私達の高校は共学だ。
男子も一緒に水泳をやる。
「別にいいじゃん。
 瑠海きれいだし」
「あんたねぇ……」
私は首を傾げる。
視線なんか気にしなければいい。
私はそう思ったから。
でも瑠海は違うらしい。
「今度泳ぎ方真剣に教えてよ、瑠海」
「え〜……。感覚だって感覚。
 私だって習っていたわけじゃないし……」
「そんな事言わずに〜……」
「おいそこ、喋らない!」
「「は〜い……」」
怒られてしまった。
だって先生の話長いんだもん。
泳げないけどプールの中に入ったっていいじゃん。
日差しで焼けるし、
シミだってできちゃうかもしれない。
今日も水泳の授業は、
プールに入る前に長い先生の話と
暑さにうなされるのであった。

7/1/2023, 2:27:56 PM

テーマ:窓越しに見えるのは #230

窓越しに見えるのは
いつも浮かない顔をしている隣の少年。
今日も出勤前に窓を見ると彼がいる。
彼は私に気づいていない。
高校生くらいなのか、
学校に行く時間よりもずっと早い時間、
まだ暗い外を眺めている。
彼の目には何が写っているのか、
私にはわからない。
でもいつも暗い顔をしている。
嫌なことや辛いことがあるのかもしれない。
お互い大変だなと、心のなかで言う。
彼は私の視線に気がついていない。
いや、気がついていたとしても
気が付かないふりをしているのかもしれない。
彼にとって年上の私は
おばさんという年に見えているかもしれない。

今日も出勤前に窓を見る。
彼の浮かない顔を見て
今日も一日頑張ろうぜと、
心のなかで話しかける。

6/30/2023, 12:16:24 PM

テーマ:赤い糸 #229

赤い糸で結ばれている相手って
本当にいるのかな…。
ふと思った。

赤い糸で結ばれているなら、
見えたほうが絶対いいのに。
見えないから運命の相手か
そうじゃないかわからないじゃないか。
わかれば告白する勇気だって
生まれるかもしれないのに。

赤い糸はなんで見えないんだろう。
「そりゃ、運命っていうのは神様のみ知っているものだからね…」
いつの間にか公園にいた少女に話していたようだ。
それにしても今の返答は何だ。
最近の教育か?
「赤い糸が見えていたらその人だけしか見えなくなっちゃうからとか、赤い糸が見えていたとしたらその運命の人がもし自分の嫌っている人だったら?」
いや、それはないだろ。
運命の相手だから。
「い〜や、おじさん。私より長く生きていて思わないの? 周りに嫌な人ばっかりだな〜とか」
だから、さっきからこの少女は何なんだ。
まるで何もかもを知ったような口調で…。
「私のことなんてどうでもいいの! 赤い糸で結ばれた人なんて見れなくていいと思うな、私は」
はいはい、わかったわかった。
「あー! 聞き流そうとしてる! 自分から話振ったのに!」
はいはい、
大人は君たちみたいな純粋無垢な真っ白な人間じゃないですよ。僕も君たちみたいな時代に戻りたいよ。


♡3000ありがとうございます(^^)

6/29/2023, 2:00:44 PM

テーマ:入道雲 #228

ふと空を見上げると入道雲が浮かんでた。
絵に書いたような大きな雲に思わず声が出てしまう。
これくらい大きな人間になれたら
ちっぽけなことで凹まなくなるかな……。
そんなことを想いながら青空に浮かぶ、
まるで空というキャンバスに書いた様な雲を見上げる。

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