狼星

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テーマ:日差し #231

夏の暑い日差しがプールに反射している。
私は水泳の授業が一番嫌いだ。
なぜなら私は泳げないから。
泳げたらこんなに暑い中のプールなんて
天国なんだろうなと思う。
でも私はカナヅチだ。
「あ〜、憂鬱」
私がそう呟くと
「わかるわぁ〜」
そう隣で言ったのは友達の瑠海だった。
「いやいや、瑠海は泳げるじゃん」
「泳げる泳げないの話じゃないよ。
 見てよ、あそこの男子。
 めっちゃうちらのこと見てるよ?」
瑠海は嫌そうな顔をして視線をまっすぐ前に向けた。
私達の高校は共学だ。
男子も一緒に水泳をやる。
「別にいいじゃん。
 瑠海きれいだし」
「あんたねぇ……」
私は首を傾げる。
視線なんか気にしなければいい。
私はそう思ったから。
でも瑠海は違うらしい。
「今度泳ぎ方真剣に教えてよ、瑠海」
「え〜……。感覚だって感覚。
 私だって習っていたわけじゃないし……」
「そんな事言わずに〜……」
「おいそこ、喋らない!」
「「は〜い……」」
怒られてしまった。
だって先生の話長いんだもん。
泳げないけどプールの中に入ったっていいじゃん。
日差しで焼けるし、
シミだってできちゃうかもしれない。
今日も水泳の授業は、
プールに入る前に長い先生の話と
暑さにうなされるのであった。

7/2/2023, 1:57:20 PM