11/6/2024, 11:40:04 AM
昨日、君は飛んで天使になった。
廃ビルの屋上。
置き去りにされたボロいパイプ椅子と古ぼけたスチールの灰皿。
あたしは君が半分吸って揉み消した吸い殻に火を付ける。
イヤホンから流れる
君のために書いたヴァース
悲しみの代償
どうせなら下らないって笑って
灰皿を壁に投げつけて手摺りによじ登った。
耳から滑り落ちて、堕ちて
天国なんかじゃなくていい
叫ぶ声は
優しい雨音に包まれて
いつまでも飛べないあたしを笑って
#柔らかい雨
11/2/2024, 1:15:20 PM
眠りに落ちるまでそばにいてあげる
金木犀の香りもいつの間にかしなくなって
吐く息に白い色が乗る
枯れ果てた花を胸に
ゆっくり冷えていくきみを抱き寄せる
ひとりで歩く終わらない旅路に
どうかわたしの歌を連れて行って
その胸に沈んだ星を掬い上げる
唯一つのものに
わたしはなりたい
#眠りにつく前に
10/25/2024, 10:02:57 AM
こんな思いをするくらいなら、あなたなんか好きにならなければよかった。
♯行かないで
6/20/2024, 5:58:22 PM
忘れないでと君は言った。
髪の匂い、震える吐息、埋めた中指の熱さ。どれも鮮明に覚えている。その傷跡に口付けをした。
次に目が覚めたら、他人のように笑って。
次に目が覚めたら、絡めた指を振りほどいて。
次に目が覚めたら、要らないものみんな壊してしまおう。
昨日出来た水たまり。
汚れた足首。
糞まみれの中で「ただ愛されたい」だなんてほざいてみる。
もがいていた方が綺麗だって?
そんなのどうだっていい。
全部、ここに置いていく。
♯あなたがいたから
4/7/2024, 4:02:58 PM
目隠しされて冷たい岩の上に横たわる
あなたに言わなければならない
美しい嘘すら波音にさらわれて
口元に微笑をたたえ
静かに還ってゆく
どうか、どうか。
代われるならば僕の
体ごと全部あげるから
涙すら不浄
その抉られた傷の中にさえ
僕はいない
何者も繋ぎ止められない
あなたが居ない明日に
どう意味を見い出せばいい
♯沈む夕日