マジック

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10/14/2023, 2:28:55 PM

「天候、良し。風向き、良し。水面、良し。絶好の飛行日和だ!」
ゴーグル越しに空を見上げて少女は満足そうに微笑む。
鼻歌を歌いながら桟橋を歩き、愛用している白い飛行艇の操縦席へ乗り込んだ。乗った際にちゃぷ、と艇底が小さく波をたてて揺り籠のように揺れる。
手慣れた手付きでエンジンを起動すると、プロペラが激しく回転しゆっくりと艇が前へ進んでいく。凪いだ水面に白波を立て、滑るように走る。ここからが好きな瞬間だ。
段々と空へ浮き上がり、完全に水面から離れていく感覚が少女を高揚させる。目の前には真っ青な空と沸き立つ雲が一面に広がっていた。
「まだまだ。もっと高く、高く…!」
操縦桿を強く握り締め、少女を乗せた飛行艇は天高く飛ぶ。
「---わぁ…!」
飛行艇は雲の上へ到達し、下を見ると海に浮かぶ島々が小さくなっていた。さっきまで自分がいた場所も、まるで豆粒のよう。
「サイッコーーっ!」
無邪気に叫ぶ少女の笑い声が空に響いて溶けていった。


お題「高く高く」

10/13/2023, 12:17:52 PM

今回は小説ではなく、お題に沿った自語り。

皆さん、ゲーム好きですか?私は大好きです!
最近はグラフィックがすごいゲームが当たり前のようにぽんぽん発売してます。子供だった頃の私が見たら「映画がゲームになってる!」って叫んでると思いますね。
主人公も自分好みにカスタマイズできて、その世界の登場人物になって色んな体験ができるという、昔では考えられなかった超進化です。目まぐるしくめちゃくちゃ楽しいゲームが溢れてます。

でも個人的には、DSやPS2時代のグラフィックが最高に大好きです。DSのかわいくしっかりしたドット絵、PS2の荒くて生き生きしたCGモーション。「ゲームをやってるんだ!」という感覚を楽しんでプレイしてました。
そして神ゲーが多いのですよ、ここらの機体は。リメイクが作られているものもありますが、やっぱり初めて会った当時の感動を超えることがそんなにありません。私自身が大人になってしまったせいもあるかもですが。
あの頃の純粋な心が懐かしい…!

今でもたくさんのゲームを遊んでます。子供のように楽しめる部分が少なくなってってる所もあるけど、今でこそ楽しめるゲームもあります。これからも多分遊んでると思います。だって楽しいからね!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
願わくば、貴方にとっての神ゲーに出会えますように。


お題「子供のように」

10/12/2023, 1:06:47 PM

とある噂話がある。

『放課後、誰もいない教室で鏡を割ると、異世界へいけるらしい』

稚拙でくだらない、あくまで話題として出される程度の噂だ。誰もそれがウソだと分かりきっている。
実際にやって動画サイトへ投稿した奴がいて、そこからデタラメだという事も発覚したからだ(その投稿主は炎上して停学になった)。そして噂話だけが残った。

ただの噂、だったはずだ。

俺は、偶然教室に忘れ物をして、放課後取りに行って、家に帰るだけだった。外はもう夕暮れで、ほとんどの生徒が帰っていた。
教壇の上に誰かが忘れていっただろう手鏡が、光を反射して眩しくて。せめて裏返していけよと思いながらその手鏡を手に取った。
そうしたら、上手く掴めてなかったせいか、するりと手から抜けてパキャンと呆気なく音をたてて割れてしまった。
「うっわ最悪…!」
面倒な事やっちまった、という煩わしさと、誰かの手鏡を勝手に割ってしまった、という罪悪感が一気にやってきたが、とにかく割れた破片を集めようとして箒とちり取りを取ろうとした。
「……は?」
変な感覚がして下を見ると、ファンタジーとかに出てきそうな大きな星型の魔法陣が、俺の足元に輝きながら広がっていた。
「嘘だろ…?アレってただの噂話じゃ--」

フォンッ---……

誰もいない教室に、割れた手鏡だけが残った。



お題「放課後」

10/11/2023, 1:38:22 PM

本番まで、あと5分ちょっと。
カーテンの向こう側から、ザワザワと観客の声がさざ波のように聞こえてくる。
アクション、演技、台詞回しは全部覚えた。衣装に解れやシワがないのも確認済み。小道具だってばっちりだ。
それでも僕の不安な気持ちを物語るように心臓はバクバクと大音量で鳴っている。
「あぁ〜緊張する…!」
「大丈夫か?顔色真っ青だけど」
「だって開口一番は僕なんだよ!セリフいきなり噛んだり、とちったりしたらどうしようと思うと…」
「それなら大丈夫だろ、お前なら。リハ以外にも他の奴より練習してたんだからよ」
「うぅ〜…でも…心配なんだよぅ…」
我ながらどんどん情けない声になっていく。始まる前なのにもう泣きそうだ。
「…よし、ちょっと手ぇ貸せシンタ。片手でいいから」
「ぇ…う、うん」
タイチに言われるまま、右手を出す。すると、握手する形で掴まれた。そして
「お・りゃ・あぁ〜!」
「うわわぁあっ‼︎」
力いっぱい縦に振られた。2、3回だけの往復で止まったが体全体が揺れてくらくらする。
「って、何すんだよタイチ!肩もげるかと思ったじゃん!」
掴まれていた手を払うと、タイチがニカっと歯を見せて笑った。
「はっはは!ようやくいつものシンタになった!」
「…もしかして緊張ほぐそうとしてやったの?」
「おぅ!体ガチガチだったからな。いい感じに柔らかくなったろ」
よかったな!と明るく言うタイチの顔を見て、少し呆れたため息が出た。でも、緊張して強張っていた体は少しだけリラックスして動きやすくなった。
「やり方はめちゃくちゃだけど…でもリラックスできた、サンキュ」
「どーいたしまして」
開演を知らせるうるさいブザーが体育館内に響く。その少し後に、放送部のアナウンスが続いた。
『これより、3年3組の演劇が始まります。演目は--』


お題「カーテン」

10/10/2023, 12:03:47 PM

心の洗浄

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