ただひとりの君へ
君はひとりしかいない
でも君の代わりはいくらでもいる
ただひとりの君へ
この言葉が君の重荷にならぬよう
できるなら君の心が軽くなる言葉となるよう
私は日々考える
私は今年も私の道を行こう
私の信じる道を行こう
苦しくても険しくても私の信じる道を行こう
周りの人や友人、親、そして大切な家族
その人たちを幸せにすること
それが
自分の信じる道、そして唯一無二の未来への鍵なのだから
自分をコントロールして過ごす
それすなわち、振り返ったとき自分が納得できる1日
納得できる時間を過ごす
攻めるときは攻める、ためるときはためる
自分の本質。
色々な変化を試みたけれど、結局、元の場所に戻ってきてしまう。
「戻ってくる」という肯定的、能動的な感覚ではなく、「戻ってきてしまう」という否定的、受動的な感覚だ。
「変わらないものはない」
よく、考えてみると、この言葉を良いこととして受け入れる状況や感覚もあるだろう。
だが、私は上記のようなイメージが、真っ先に浮かんでしまった。
『何だよ、飾りやがって』
そう、胸の内で1人、毒づきながら、元太は帰り道を急いでいた。
クリスマスが近いため、大通りはイルミネーションで着飾っている。
カップルたちが手を繋ぎながら、歩くには最適な環境だろう。
大学受験に失敗し、一浪中で彼女もいない、荒川元太には無縁の世界だが。
予備校から地下鉄に行くには、この通りを通らねばならないのだ。
少し回り道することもできるが、なんだか負けた気がして、この通りを足早に過ぎ去ることにしている。
「あれ?荒川くん?」
ふと、声をかけられ足をとめる。
「やっぱり、荒川くんだ。久しぶり、覚えてる?同じクラスの越川だけど」
声の主を見て驚く。
忘れるわけがない。
同じクラスで、ずっと気になっていた越川舞がそこにいた。
「あ、ああ、久しぶり、もちろん覚えてるよ」
他愛のない、近況を話し、その後、彼女とは別れた。
「またね」
最後に、舞がそう言った。
連絡先も交換してないし、社交辞令だろう。
でも、同じクラスにいたときは、一度も話したことがなかった彼女と、あんなに長く(実際は10分か15分くらいだけど・・)話せたことは、奇跡のようだった。
なんだか、さっきまでは鬱陶しかったイルミネーションが、元太の道を照らす光に感じた。