キンモクセイ
あなたは『キンモクセイ』と聞いて、どんなことを考えるだろう。
私はこの香りが憎い。
だって…
大切なあなたの好きな香りだから。
あなたが好きと言ったから、意識して身に纏うようにしたのに、
「何、その香り?君には似合わない。」
だなんて言うんだから。
でも、それなのに…
今もあなたのことが好きだなんて…
どうしてくれるの?
秘密の標本
僕は、小学生の時に理科室のちょっと奥にある『理科準備室』が大好きだった。そこには当時の先生の趣味であった、カエルのホルマリン漬けなど…沢山の標本が所狭しとあった。そんな少し不気味なこの部屋が大好きだった。
僕は毎日のように通い、先生に標本にする方法やホルマリン漬けの方法など、沢山学んだ。
でも、ある日突然先生はいなくなった。
何故なら、学校で飼っていたウサギを殺して、標本にした疑いが掛けられていたからだ。
先生は最後まで言っていた「俺は何もやっていない!」って。
他の先生たちはみんな疑ってたけど、僕は先生はやってないって知ってる。
だって…
僕が殺したんだもん。
10年後…
「警部!大変です!また新たな被害者が!」
「何!?もうこれで13 件目だぞ!」
「今回も左薬指がなく、ご遺体の近くに同じ指輪が落ちていたようです。」
『続いてのニュースです。また薬指の切られた女性の遺体が発見されたそうです。』
『いや〜警察は何をやっているんでしょうか?』
ブチッ
「あぁ〜つまんないなぁ〜」
男はスマホに流れるニュース番組を消して立ち上がった。その部屋は至って普通だった。
「んふ。かわいい僕のコレクション。」
そう言って、男はアタッシュケースを開けた。
その中には、人間の指が入っていた。
男は13本目となる指を丁寧にケースに収めた。
男の左薬指には、13人の被害者の近くにあった指輪と同じものが輝いていた。
曇り
私は曇り空が好きだ。
何故なら私のこの優柔不断で曖昧な
この心を映しているような気がして
手を繋いで
私の高校生活は充実したものだった。
友達も居たし、部活も楽しかった。
成績も至って普通。大学も希望のところに行くことが決まっている。
が…
『一度も彼氏が出来なかった!』
一度でも良いからそういう相手が欲しかった!
もしそういう相手ができたら言いたかったのに…
「お願い。手を繋いで」
どこ?
私には彼氏がいる。
とってもイケメンでとっても優しい人だ。
だが、最近彼が冷たい。
電話も出てくれないし、家にも帰っていないみたい。
彼の大学に行っても、まるで何かに怯えているように…
今日は私の大学の友達とカフェでお茶をしている。
「ねぇ〜私の彼氏がさ、最近冷たいんだけど、
どうしたら良いのかなぁ?」
「は?そんなことどうでも良いよ!それより、
私の推しのヒロキがさ、ストーカーに遭ってる
みたいなの。ヤバくね?」
「そんなことって…」
私の友達は私の話に興味が無いらしい。
ねぇ、どこに居るの?
“ヒロキ”