秘密の標本
僕は、小学生の時に理科室のちょっと奥にある『理科準備室』が大好きだった。そこには当時の先生の趣味であった、カエルのホルマリン漬けなど…沢山の標本が所狭しとあった。そんな少し不気味なこの部屋が大好きだった。
僕は毎日のように通い、先生に標本にする方法やホルマリン漬けの方法など、沢山学んだ。
でも、ある日突然先生はいなくなった。
何故なら、学校で飼っていたウサギを殺して、標本にした疑いが掛けられていたからだ。
先生は最後まで言っていた「俺は何もやっていない!」って。
他の先生たちはみんな疑ってたけど、僕は先生はやってないって知ってる。
だって…
僕が殺したんだもん。
10年後…
「警部!大変です!また新たな被害者が!」
「何!?もうこれで13 件目だぞ!」
「今回も左薬指がなく、ご遺体の近くに同じ指輪が落ちていたようです。」
『続いてのニュースです。また薬指の切られた女性の遺体が発見されたそうです。』
『いや〜警察は何をやっているんでしょうか?』
ブチッ
「あぁ〜つまんないなぁ〜」
男はスマホに流れるニュース番組を消して立ち上がった。その部屋は至って普通だった。
「んふ。かわいい僕のコレクション。」
そう言って、男はアタッシュケースを開けた。
その中には、人間の指が入っていた。
男は13本目となる指を丁寧にケースに収めた。
男の左薬指には、13人の被害者の近くにあった指輪と同じものが輝いていた。
11/3/2025, 9:18:14 AM