僕には恋がなんなのかよくわからない。
小さい頃から親はよく喧嘩していて、
結婚なんて、恋なんてするもんじゃないと思って生きてきた。
でも、中学、高校、大学…
どんどん大人になるにつれて、
周りは恋人が欲しいだの
あいつはかわいいだの
結婚したいだの
そんな話ばっかり。
みんなが幸せそうに話すから、
恋バナを聞くのは好きだけど、
僕はいつでも第三者で傍観者であるべきだ。
いまだにこの類の胸が高まる気持ちはわからない。
ー胸の鼓動
君は踊るような音を感じたことはあるだろうか。
重力を感じなくて、
さっぱりとしているような。
そんな音。
まあ、僕が勝手にそう思ってるだけだけどさ。
そんなふうに人生も生きられたらなって
ときどき思ってしまう。
過去のこと
未来のこと
考えすぎずに、
思い詰めずに、
ただ今を生きて。
この瞬間だけを生きてみたい。
踊るような生き方をしてみたいなって。
ー踊るように
君は優しい人だ。
こんな僕でも君のその優しさは感じたよ。
人の優しさを素直に受け取れない、
捻じ曲げて受け取ってしまう僕にも。
だって、あんまりにも君が
僕とまっすぐに向き合ってくれるから。
決して見返りなんて求めなかったから。
君の不幸は全部僕が背負っていくからさ、
君は君だけはどうか幸せでいてね。
君は優しいから、
こんな僕に対してもきっと
もっと何かできたんじゃないかって
責めちゃうのかな。
そんなこと思わないでね。
僕は君にたくさんもらった。
十分すぎるくらいに。
この結末は僕の意志だ。
僕が決めたこと。
決して君のせいじゃない。
今まで苦しみに耐えてきた分
君は幸せになれるよ。絶対に。
今までありがとう。
さようなら。
ー時を告げる
僕の両親は海が大好きだった。
だから、毎年夏になると海に連れて行ってくれて
家も窓から海が見える場所にある。
そして、母さんと夜に海辺を散歩するのが僕の日課だった。父さんは仕事で帰りがおそいから。2人だけで。
そんなある時、母さんがとっても綺麗な貝殻を見つけて、それをネックレスにして僕にくれたんだ。
すっごく嬉しかった。
宝物にしようと思った。
一生大事にしようと思った。
だから、ずっとずっと肌身離さず持っていたんだ。
離れていても母さんがそばにいる気がして、
心の支えでいてくれる気がして。
もちろん今でも持ってはいる。
でも、今ではこれを見るたびに
あの時を思い出すたびに
心が苦しくなる。
いつしか父さんは家を出て行ってしまったんだ。
そこから母さんの心は壊れていって。
色々と僕なりに考えて寄り添ってみたけど、
僕には何もできないのだと思った。
僕が何かしたところで母さんの心の穴は埋められないのだと。
あの時のような笑顔の母さんはもういない。
それでも母さんは夜になると海を眺めている。
何を考えているのだろう。
もうわからない。
どうしたら僕に振り向いてくれるのだろう。
考えてばかりだ。
いっそのことこいつと一緒に海へ行こうか。
ー貝殻
煌
君は名前の通り光り輝いていて
みんなの憧れだ。
僕も思った。
こんなにも名前の通りに生きてる人を見るのは初めてだと。
でも、どんどん関わっていく中で感じたんだ。
君はそんな風に生きたいと思っていないということを。
他人に縛られるのはもうやめようよ。
光も陰も関係ない。
自分らしく生きていれば、
君が幸せでいてくれれば、
それでいいんだ。
他人の評価なんて気にしなくていい。って
僕はそう思うよ。
ーきらめき