君はどんなに些細なことでも喜んで、
感謝をしてくれる。
そんな君と出会って僕は
小さなことでも幸せを感じるようになった。
だから、
僕もこれから君にちゃんと伝えていくよ。
ー些細なことでも
言葉ってなかなか思ったように伝わらないもので。
誤解されやすくて。
だから、
よくよく相手の言葉を読んで
色んな可能性を考えて
自分の気持ちはどうすれば伝わるか考えて
何度も何度も読み返して
''これで大丈夫だ"
と確信が持てるまでは送れないんだよな。
一開けないLINE
僕はいつも周りに合わせて、
他人の軸で生きてきた。
親の自慢の息子でいるように。
先生も誇れる真面目で優秀な生徒でいられるように。
"いいやつだな"と言われるような友達でいられるように。
そうやって周りが理想としているであろう自分を演じて生きていた。自分の気持ちに蓋をして。
そしたらどんどん本当の自分がわからなくなってきた。
いや、違うな。
自分の気持ちがわからないから他人に合わせていたのかもしれない。
でも、もうそういうのにうんざりしてきて。
ここのところ僕は迷いに迷っている。
どういう人生を歩むべきなのか。
生きることに意味はあるのだろうか。
価値のない僕が生きている意味はあるのだろうか。
こんな僕にできることがあるのだろうか。
別に感傷的になっているわけではない。
ただ実際問題こんな僕に価値などないのだ。
まあ、でも思うのは
結局どれもこれも自分次第だよなってこと。
どう意味づけるかも人それぞれだし。
変わろうと本気で思わないと、変われることはないし。
物事をどう捉えるかによって全然違く見えるしさ。
探り探り生きていけばいいのかもしれない。
今まで完璧を求めていたけど、
不完全なままでいいのかもしれない。
それは諦めてるわけじゃなくて、
とても前向きな意味でね。
そして、きっと完璧だとつまらないのだろう。
少し欠けてるものを欲してしまうのだろう。
人間結局ないものねだりだもんね。
もう少し生きてみることにするよ。
ー不完全な僕
すれ違いざま、
見知らぬ誰かの余薫が鼻をかすめる。
君と同じ匂いだ。
思わず振り返ってしまった。
もうあいつはいないのに。
_____
「ねえねえ、これ知ってる??」
"プルースト効果
特定の香りをかいだとき、その香りに紐づいた過去の記憶や感情が無意識的に呼び起こされる現象。"
どうも匂いと記憶の関係は強いということらしい。
「今日の授業で習ったんだあ!人間っておもしろいよね!!!僕も毎日同じ香りつけてたら思い出してもらえるのかな!」
「そんなことしなくても忘れないよ。」
「どうだかねえ〜」
卒業が迫る高校生の他愛もない会話のはずだった。
この時彼はもう覚悟を決めていたんだろうな。
もう何年も前の話だ。
彼は卒業して間もなく帰らぬ人となってしまった。
1日だって君を忘れたことなんてないのに。
この香りはあの頃の笑った君を思い起こさせる。
僕の気持ちも知らないで、
本当にずるいやつだよ、お前は。
ー香水
とある冬の話
日曜日
今日は少し肌寒い。
天気は、そうだな。雨が降りそうで降らない曇りといったところか。
いい日だ。
こういう日は決まってこの場所に来たくなる。
ここから1歩踏み出せれば全て終わるのに、
楽になれるのに、
そんなことを考えながら。
___
バイト帰り。
ビルの屋上に君を見つけた。
何かしないと消えてしまいそうで怖かった。
急いで君の元へ向かうと、
驚いた顔でこっちを見る君。
そして、君はいつもいつも大丈夫だという。
そんな言葉を言って欲しいんじゃない。
ただ君の幸せな姿をみれればそれでいいんだ。
君のつらさを僕にも分けてくれればいいのに。
いっそのこと僕が代われればいいのに。
そう思いながらただ隣にいてやることしかできない自分に心底腹が立つ。
ー言葉はいらない、ただ…