この時期の雀は
まんまるふわふわ
早朝の冷たい空気
電柱にはいくつものまんまるが
飛び立つ
かじかむ両手を
厚手のコートに突っ込み
息を吐く
自分も雀も
準備はできている
【雪を待つ】
行きつけのカフェ
ボックス席が お気に入り
カウンターでは
無口なマスターが珈琲を淹れる
白髪の混じった髪を
後ろに流し
顔に刻まれた皺が
私の倍以上を生きていることを
教えてくれる
見た目こそ 無愛想そうな
マスターだけれど
私の頼んだ カフェラテには
いつも ラテアートを描いてくれる
今日は可愛い
いぬのイラストだ
【愛を注いで】
寒さで手足がかじかむ
寒空の下
白い息を吐きながら
自販機の前
あたたかいココアの
ボタンを押した
取り出した缶は
熱くてつい
宙に浮かしてしまう
あの人の分の
ココアも買った
言葉をかわさずとも
落ち着ける
あの人と一緒に
【心と心】
知っているんだ 俺は
お前は一人で
何かを抱えている時には
大丈夫だ と笑うんだ
普段はつまらないことで
構ってくる癖に
俺は頼りにならないのか
なら勝手にしろ 俺も勝手にする
お前を追いかけて
手を差し伸べてやるんだ
【何でもないフリ】
いつの日にかの教室
休み時間なので
騒がしい
ある数人は
机を挟んでおしゃべり
黒板の前で数人が床に座り
スマホを片手に動画を眺めている
後ろのロッカー周りでは
陽気な数人が小突き合いをしてはしゃぐ
皆 誰かしらと
語らい 騒ぎ 戯れる
自分はというと
席で一人 頬杖をつく
友人がいない訳ではないが
何となく 一人でいたい気分
教室と自分が
切り取られている この感じに
浸りたい時がある
ふと 窓側後方の席に視線を向ける
あまり接点のないクラスメイトが
一人 文庫本片手に
頬杖をつきながら
窓から見える グラウンドを
見つめていた
【仲間】