知っているんだ 俺は
お前は一人で
何かを抱えている時には
大丈夫だ と笑うんだ
普段はつまらないことで
構ってくる癖に
俺は頼りにならないのか
なら勝手にしろ 俺も勝手にする
お前を追いかけて
手を差し伸べてやるんだ
【何でもないフリ】
いつの日にかの教室
休み時間なので
騒がしい
ある数人は
机を挟んでおしゃべり
黒板の前で数人が床に座り
スマホを片手に動画を眺めている
後ろのロッカー周りでは
陽気な数人が小突き合いをしてはしゃぐ
皆 誰かしらと
語らい 騒ぎ 戯れる
自分はというと
席で一人 頬杖をつく
友人がいない訳ではないが
何となく 一人でいたい気分
教室と自分が
切り取られている この感じに
浸りたい時がある
ふと 窓側後方の席に視線を向ける
あまり接点のないクラスメイトが
一人 文庫本片手に
頬杖をつきながら
窓から見える グラウンドを
見つめていた
【仲間】
つまずきそうになったら
咄嗟に手を
差し伸べてくれる 君
転びそうになった君を
今度は僕が 手を伸ばす
君とならきっと
どこまでも 行けて
何にでも なれる
【手を繋いで】
助けてくれて
ありがとう
そう 言いたかった
小説やドラマのような
ありきたりなことを思う日が
くるなんて
道の端にそっと
花束を置く
黒い羽が
すぐ側に落ちた
もしかして と思ったけれど
そんな筈はないだろう
あの鳥は 自分を庇って
目の前で ーに
ーーーーーだから
【ありがとう、ごめんね】
夕方の公園
誰もいない時は 決まって
逆上がりの練習
全然できなくて
鉄棒を握る手が 痛くなる
怖いのか 勢いが ないのか
どちらも だ
頭が下で 足が上
腕と腹で保つのが
不安で怖い
もう一度 足を蹴り上げる
近くの木から 鳥の大群が
飛び出してきて
思わずびっくりする
気がついたら
両足が空を踏んでいた
【逆さま】