【窓から見える景色】
電車に揺られる
流れる風景を見つめると
風になった気分だ
イヤホンを耳にあてながら
音の海を泳ぐ風になる
満員電車の処世術だ
【形の無いもの】
空気は 気温や環境で変化し
感情は 心次第で変化する
水は器によって 保たれて
感情は理性という
器によって 保たれる
風は 海と陸などに振り回されて
感情は 突然の衝動に振り回される
火は 燃料で燃え盛り
感情は 恋や恨みで燃え盛る
土は 長い年月で隆起沈殿 安定し
感情は 人生の波で隆起沈殿し
一人一人の礎となる
【時間よ止まれ】
君と笑っていられる
この瞬間が ずっと
続けばいいのに と
願った 数年前
祈るように
シャッターを切った
君はもう いない
いない
それでも時は進む
砂時計の砂が落ちるのが
止まらないように
それでも 願わずには
いられない
君を思い出には
したくない
写真を握る手が
震える
【花畑】
花冠を被り
皆で手を繋げて
輪になる
はなのわ
ひとのわ
はたけのわ
輪はやがて離れ
輪っかはなくなる
冠になった花の隙間は
また次の季節には咲く
【空が泣く】
ある日の昼下がり。日用品の買い物がてら、近所のスーパーを歩いていたところ、近くの棚でお菓子を選びながら会話をしている親子がいた。
「ほいくえんでね、そとであそんでいたら、わーって、そらがないちゃった」
「そうだねぇ、さっきるう君お迎えに行った時お洋服濡れちゃってたもんね」
お菓子何食べようか?という親に対して、るう君と呼ばれた子供は、これがいい!と飴の袋を親へ差し出した。パッケージには虹が描かれた飴玉が描かれている。
「そらにもあげるの」
「どうやってあげるの?」
「てるてるぼーずみたいにするっ」
そんなやりとりを横目で聞きながら私は虹色が描かれた飴袋を手に取る。
子供はつくづく大人にはない感性を持っている。私もあの親もかつてはあの子供のような感性を持っていた筈なのだが、一体いつから、なくしてしまったのだろうか。
にわか雨に慰めようなんて気持ちにはなれない。
でも、たまには空を労っても良いかな。
そう思い、私は飴袋を買い物かごへ入れた。
流石に、てるてる坊主のように吊るしたりはしないけれど。